水たまりで息をする
「水たまりで息をする」の関連記事
第165回芥川賞は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』、直木賞は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定!
第165回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月14日(水)、都内で開催され、「芥川龍之介賞」は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』に、「直木三十五賞」は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定した。 【第165回芥川賞受賞作品】 『貝に続く場所にて』(石沢麻依/講談社) 『貝に続く場所にて』(石沢麻依/講談社) 【あらすじ】 コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。 ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。 【プロフィール】 石沢麻依(いしざわ・まい)●1980年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、ドイツ在住。2021年、「貝に続く場所にて」で第64回群像新人文学賞を受賞。 『彼岸花が咲く島』(李琴峰/文藝春秋) 『彼岸花が咲く島』(李琴峰/文藝春秋) 【あらすじ】 記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思…
2021/7/14
全文を読む関連記事をもっと見る
水たまりで息をする / 感想・レビュー
starbro
第165回芥川龍之介賞受賞作&候補作第四弾(4/5)は、候補作三作目です。今時の病んでいる夫婦のリアル、ゾクゾクしながら次の展開を期待して一気読みでした。既読四作品の中では、現状MyBestです。病気とは言え、毎日朝のシャワーと夜のお風呂を欠かせない私としては、何か月もお風呂に入らないのは、信じられません。 続いて、ラストの受賞作『彼岸花が咲く島』へ。 https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/mizutamari/
2021/08/13
さてさて
『夫が風呂に入らなくなった』。そんな目の前の動かし難いまさかの現実の先に、妻・衣津実の狂おしく揺れ動く内面がこれでもかと描かれていくこの作品。そこには、夫の急な変化に戸惑う衣津実視点の物語が描かれていました。芥川賞候補作らしい比喩表現の登場にニンマリするこの作品。『風呂に入らなくなって』○か月という描写のリアルさに思わず息を止めたくもなるこの作品。次作で芥川賞を受賞される高瀬隼子さんが描く、なんともシュールで不思議感漂う物語の中に、読む手を止めることのできない密度感のある描写が心に残る、そんな作品でした。
2023/06/20
いっち
夫が風呂に入らなくなった。水がくさかったり、痛かったりするらしい。夫の身体を洗う水の種類が、ミネラルウォーター、雨水、川へ変わっていく。主人公と夫は二人暮らし。夫は仕事を辞め、川の近くの田舎に引っ越す。主人公も一緒に住むため仕事を辞める。嫌な仕事から解放された夫が、田舎で自分を取り戻す話かと思ったが、そんな単純ではなかった。謎が残される(詳しくはコメント欄のリンクに記載)。残される謎の必要性を、私は感じなかった。物語の視点は主人公で、主人公の主観で描かれるのだが、三人称で語られる理由はなぜだろうと思った。
2021/07/12
zero1
芥川賞候補(後述)。東京に住む30代の共働き夫婦。話は妻の視点で展開。ある日、夫が風呂に入らなくなる。水の臭いが気になるという。当然、身体からは悪臭が。不思議なことに心療内科を受診せず、夫婦間で話し合いもしない。主人公が私の妹なら離婚させる。妻の言動は優しさや愛情でなく、単なる優柔不断にしか思えない。妻の実家や飼ってた魚(隠喩?)がカットバックで入るものの無駄に長い。結末は、どのようにも解釈可能。私が選考委員でも推さない。唯一、推した平野の思考は理解しがたい。
2023/06/21
おしゃべりメガネ
かなりへヴィな読書体験となりました。とあるコトがきっかけで突然夫が風呂に入らなくなる話。好き嫌いや、得意不得意が人それぞれあると思いますが、私には正直かなりキツい作風でした。とにかく夫が風呂に入らず、日時が経過していく様子がリアルに綴られ、作品を楽しむ前にその描写にひたすら嫌悪感をもってしまい、薄めのボリュームとは裏腹に衝撃度はかなりのインパクトがありました。妻も妻でもう少し夫に対してフォローがあってもいいのではと思いつつ、改めて所詮夫婦は結局は他人なんだなと思い知らされた気がします。いや、まいりました。
2021/10/17
感想・レビューをもっと見る