栞と噓の季節
栞と噓の季節 / 感想・レビュー
パトラッシュ
米澤穂信のミステリでは、語り手をはじめ登場人物は親友であっても他人の領域に踏み込まない。腹を割って話すことで傷つけ合うより、ベタベタせず距離感を保ち心の秘密を守るのを優先する。衝突のない賢い生き方だが、互いに嘘をつくのもありとの前提なので常に緊張を強いられる。そのため思いがけず真実が露呈したり緊張の糸が切れると、パニックに発展してしまう。トリカブトの花の栞を発端に次々と隠し事が明らかになるが、次郎と詩門の図書委員コンビは自白を強要せず嘘をついた理由を探っていく。心の真実こそ真の意味で事件の真相なのだから。
2023/09/07
starbro
米澤 穂信は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。直木賞受賞後第一作、図書委員シリーズ「本と鍵の季節」の続編、青春ほろ苦ミステリの佳作でした。40年前に高校生だった私には、あまり響きませんでした(笑) https://lp.shueisha.co.jp/toshoiin/
2022/11/25
bunmei
高校の図書委員が主人公の青春学園ミステリー『本と鍵の季節』シリーズ第2弾。直木賞作家・米澤作品としては、やや軽めのシチュエーションではあるが、常に冷静で大人びた松倉と、実直で優しさのある堀川の高校生コンビの、互いに信頼してるからこその、間の抜けた掛け合いが絶妙。本作の事案は、図書室の本の中に挟まれていた、猛毒のトリカブトで作られた栞を巡る、謎と真相に迫るミステリー。表題通りに、栞に関わる人々の嘘が、幾重にも重なり、2人と同級生の女子中学時代の過去とも絡み合いながら、トリカブトの謎が解き明かされていく。
2022/12/31
koji
大好きな古典部シリーズの姉妹編「図書委員」シリーズ2作目。STORYは、図書館で堀川次郎が見つけた「ラミネートされた猛毒のトリカブトの花の栞」から始まります。唯この栞は一つではなく。栞が「悪意、憎悪」の「切り札」として、高校生の間で広がっていく時、恐ろしい事態が起きます。これを穂信さんは静かなタッチで描き切り、不穏さ、不気味さを見事に表現しました。更に「嘘」。ここで放たれる嘘は、どれも物語の核心に関わるもの。見抜けるか、読者への挑戦状でもあります。そして、松倉、堀川等人物造型の見事さ。期待を裏切りません
2023/01/22
うっちー
前作もうろ覚えですが、前作の方が面白かったような。黒牢城のイメージが強すぎて
2022/12/05
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