黄金比の縁
黄金比の縁 / 感想・レビュー
hiace9000
鋭い洞察とともに描く『就活(新卒採用)』の舞台裏。「悲哀」と「自虐」と「諧謔」に徹底してこだわり、淡々と捏ね上げると、こんな独特の"おかしみ"を味わえる作品に仕上がるなんて…。デビュー作かつ芥川候補となった『我が友、スミス』は恥ずかしながら未読だが、完全に「読まねばモード」オン。終始語り手、元エンジニアで「人事部の小野さん」の独り言。その苦みの効いた毒舌が妙に本質を突いていて、この"くすぐり感"がクセになる。蛇蝎の如く「縁」を嫌う彼女が、隠匿した舌鋒に「縁」を乗せたとき、内に秘めた矜持を垣間見た気がした。
2023/09/20
R
シュールな笑いのある短編だった。採用担当の閑職に飛ばされた主人公が、後ろ暗い復讐心を抱き、会社が長期的に不利となるような人事をこつこつ進めていく話が、人事あるあるや採用あるあるでデコられてるのが面白い。主人公の暗い活動が、傍目では極めて優秀な社員の仕事に見えるというギャップも面白いのだけど、最終的に何が目的だったのか、なんか妙な決断を迫られるようなラストになっていて、そこが無暗にドラマチックで感動と笑いを同時に味わった。人間らしさというか、共感とも異なるおかしみがよい。
2023/11/30
fwhd8325
淡々とそして濃密に描かれた面白い作品でした。テキスト本のようなボリュームで、あっという間に読み終えました。
2024/02/18
NADIA
文句のない面白さ👍 新卒入社した会社で充実した会社員生活を送る小野。しかし、ほんの些細なことで花形部署から人事部に異動させられる。不満を抱く彼女が「会社の不利益となる人間を採る」という目的のもとに考えだした「顔面の黄金比による合否判定」。いやもう、目からウロコの説得力だよ。瞬時に能力・人柄を判別するってそれしかないよね(´;ω;`) 運と縁の世界だ。就活生は 朝井リョウ『何者』 浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』と、この作品を読んで臨んでほしい。就活をテーマとした三大傑作とワタシ的認定✨
2024/02/23
シナモン
会社の人事部、新卒採用の裏側。そんな採用基準って…って驚いたけど、所詮人間がやること、ありだなぁと面白く読んだ。そんな会社への復讐方法もあるんだな。軽やかな文章であっという間に読めるけど、内容は深く濃厚。石田夏穂さん、追いかけたい作家さん!
2024/06/28
感想・レビューをもっと見る