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六道遊行

六道遊行

六道遊行

作家
石川淳
出版社
集英社
発売日
1983-04-01
ISBN
9784087724264
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六道遊行 / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

時空を手玉に取り、石川淳の自由闊達な精神が紡ぎだす素晴らしい小説。盗賊の頭小楯が奈良時代と現代を行き来しながら、世に巣食う悪と戦う。小楯自身も悪党だが、彼が我慢できないのは、富に執着し、現状に満足する精神の堕落だ。現代の日本語ではなく、典雅な擬古文で書かれており、奔流のような美しい言葉の数々に陶然とした。小楯の秘めた恋も魅力的で、彼は女帝に密かに恋心を持ち続けて、彼女の行動を遠回しに支えたりする。現代の方では胡散臭い金の亡者たちのぶつかりあいが面白い。反俗という言葉が一番似合う作家の渾身の傑作。

2018/07/17

ワッピー

折しも奈良の大仏建立の折、護国平常の祈りの形は庶民を苛んでいった。防人を脱して盗賊となった小楯は、葛城山に向かう途中で白い女を追って時空を超え、現代の日本へ跳び来る。小楯を守る白玉の縁で現代に生まれた玉丸を、そして奈良の都では小楯が密かに想う姫のみかどを中心に大人たちの野望の網が十重二十重に絡まる。奈良と現代を跳躍する小楯は、七瀬の悲恋、宿敵との決着、盗賊団の跡目を譲ってふたたび帰らぬ旅に出るまで終始一貫クールな男でした。「至福千年」とはまた違った味わいの作品です。

2018/09/01

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