朱夏 上
朱夏 上 / 感想・レビュー
James Hayashi
著者の自伝的小説。空襲を嫌い満州へ疎開的に移動してきた綾子。結婚し子供を産み教師として渡った夫に続く綾子。水は赤茶け臭いもある。ない生野菜、極寒、野犬、季節風と黄塵。あっという間の終戦。忍び寄るソ連兵や現地人の恨みつらみが身近に感ずるようになるまでが上巻。土佐ではいい家庭環境でなかったが恵まれていた。そして満州でのギャップは綾子を余計つらい環境と思わせる。下巻へ。
2017/08/14
ちゃま坊
満州に渡った日本人にもだいぶ温度差がある。この小説の主人公一家は満州開拓団で貧しい生活。「満州国演義」や「赤い月」の主人公は関東軍からのオコボレが多く豊かな生活。富の源は植民地から搾取されたものだ。綾子は金地獄に堕ちたくないとオイシイ話を拒否するが、中国人から見ればどちらも侵略者だ。空襲がないとか飯がいっぱい食えるとか召集免除とか信じて渡ってきた。しかし敗戦でここも安楽の地ではなくなった。★★
2018/02/11
千頼
あの綾子が‥というくらい強くなった。それでも三つ子の魂百までとはよく言ったもので、根本にはまだまだ嬢さん嬢さんと傅かれていた頃の考え方がしっかりと残っている。夫となる人が要でよかったなぁと思いながら読んでいる自分に驚いた。力があるのでも判断力があるのでもなく、受け入れて優しく導いてくれる人のありがたみが嫌というほどわかった一冊だった。高知弁に触れたくて読み始めたはずが、いまは先が気になって仕方ない【図書館本】
2023/11/25
seyama
おもしろい!
2017/02/12
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