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蛇を殺す夜

蛇を殺す夜

蛇を殺す夜

作家
奥泉光
出版社
集英社
発売日
1992-09-01
ISBN
9784087728699
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蛇を殺す夜 / 感想・レビュー

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安南

『暴力の舟』体は捻られ、脳みそは痒みに襲われ、たまらなくて何度も叫び出しそうになった。なんて悪質な小説だろう。意味不明に熱く、意味不明に不愉快で、恒に暴力を誘発してしまう男、錠念先輩。彼は大いなる道化者であり、殉教者。彼のことを思うと涙が滲む。うつぼ舟(補陀落渡海)伝説がさらに心震わせる。傑作!『蛇を殺す夜』妖の女に誘われて、夢現を行ったり来たり。秋成『蛇性の淫』か鏡花『高野聖』か。鎖に繋がれた熊の存在等が耽美だけではないグロテスクさを醸している。悪酔いした〜(褒めている)

2015/01/06

501

およそ15年間本棚で眠っていた本。最近、著者の作品が気になりだしたところ、本書が著者だと気づきようやく日の目を見る。初期の作品。表題作と"暴力の舟"の2編。暴力の舟は言動や雰囲気で他人の暴力性を誘起する男(大学生)の青春というには哀し過ぎる青春物語。表題作は許婚の親族の法事へ道中、初の営みに男の不能のため失敗した理由を思い巡らし、蛇や熊にイメージを重ねる。どちらも脳裏が痺れるような毒々しい空気感に魅了される作品。

2016/02/19

miroku

「暴力の舟」が面白かった。学生時代の青臭さが上手く描かれているように思える。

2014/08/12

てふてふこ

揉め事を起こし・巻き込まれ、尚且つ癪に障る錠念先輩。彼の決まり文句「理想社会」って、具体的に説明して!と、私までつっこみつつ読んでたが・・。烏帽子岩のうつぼ舟でのシーンは意表を突かれ、意地悪な気持ちが吹っ飛んだ。なのに、その後が悲しすぎて。悲しい感動。久々な気持ちです。「暴力の舟」にすっかりやられました。傑作です。

2014/02/27

乱読999+α

表題と「暴力の舟」の2つ。両作品共に漢字の多い硬質な言い回しの文章が目に付く。奧泉氏の初期の作品だが、その文章の中にジンワリと独特の“ユーモワ”と“自虐”が染み出てくる。「暴力の舟」の先輩みたいな人、確かにいる。自己の理想社会に固執し、無意識のうちに他人の感情を苛つかせ反感を買う人。これは森見氏の作品に出てくる京都の阿呆な大学生にも通じるところがあるように思えた。傑作だった。「蛇を・・」性交不能を原因とする妄想の果てに思考に変調を来していく様子が痛々しく不気味でもあった。

2017/03/27

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