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浴室

浴室

浴室

作家
J・P・トゥーサン
野崎歓
出版社
集英社
発売日
1990-01-05
ISBN
9784087731088
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浴室 / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

最初にこの本が日本に紹介された時は、都会的でお洒落な小説という触れ込みだった。そのような面があることは確かで、村上春樹氏にも通じる都会的な感性を感じる作品だ。感傷を排した文章、淡々と生きている登場人物達などは、今の日本人に馴染みやすいのではないかと思う。ただし、この小説は内容豊かで、都会的でお洒落な小説を言うレッテルからはみ出す部分を持っている。特に主人公の僕が抱え込んでいる虚無が強く印象に残る。恋人のエドモンドソンを傷つけてしまう場面はかなりショッキングだ。(続きます)

2017/05/13

えりか

私はお風呂が大好きである。一人の時なら、お風呂にご飯もスマホも本も持ち込んで何時間でも入ってしまう。本書の主人公(自己中心的20代後半男子)も浴室にこもる。それは自分の殻にこもるということなので、別に浴室でなくても構わない。ホテルの一室であったり、病室であったりでもいい。大事なのは「こもる」こと。それは精神的なことあって決して物理的なことではない。他人との距離感は難しくて、近すぎても息苦しいし、遠すぎても伝わらない。疲れてしまう。だから、たまにはこもれる殻を持っていたっていいんじゃないかななんて思う。

2016/10/06

燃えつきた棒

つかもうとはしてみたけれど、濡れた石鹸の様に手から滑り落ちてしまった。 もう一度拾い上げようとしても、タイルの上を逃げてゆくばかり。

2019/04/01

Gin&Tonic

良い意味での雰囲気小説。気負わずに、音楽を聴くみたいに読みました。主人公は浴室に籠る青年というので、内省的な哲学者肌の人物かと思っていたら特にそんなことはなく(笑)、すごくナチュラルにひねくれているのにシニカルな影を感じさせない、不思議な人物でした(というか、言うほど浴室に籠ってない)。恋人にダーツを投げるシーンが印象的。

2015/03/01

mejiro

いちばん印象的なのは文章と構成。コメディ風で、ときおり詩的な場面もある。途中までおもしろく読んでたのに、恋人に対する仕打ちが厭な感じで、一気に読む気が失せた。このエピソード以降、語り手がただの性悪なへそ曲がりにしか見えず…。フランスの小説は斜に構えた書き方が多いと思った。作風が合えばとてもおもしろいが、合わないと鼻につくというか。個性的で好き嫌いがはっきりしやすい。著者はベルギー出身で、作中にそれをほのめかす場面があるけど…フランスの作家だなあ、と感じた。訳者あとがきが参考になった。

2017/09/08

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