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カメラ

カメラ

カメラ

作家
J・P・トゥーサン
野崎歓
出版社
集英社
発売日
1992-01-06
ISBN
9784087731415
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カメラ / 感想・レビュー

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キジネコ

目覚めた時に忘れ始めている夢の様な印象。当たり前の日常から、ほんの少しずれた所で行われる営為。ある船の中で「ボク」は置き忘れられたカメラを見つけて持ち出してしまいます。通奏低音の様に寄せる感情の囁かな波、怒り・苛立ち・不安・出会った女性パスカルへのシンパシー・喜びが、読者につきまとい共振を求めます。盗んだカメラは船上から海に投棄され手に残ったフィルムの最後の一枚に「ボク」の存在(不在)の刻印を見つける。描かれた不機嫌の先には海底で朽ちてゆく、カメラの様な死への憧れすら見える。味わい深い孤独。薬か、毒か?

2013/05/01

猫丸

1992年初版本。読まずに長らく実家に放置していたもの。処分本の山に加える寸前ちょっと気になって救出、30年越しの初読である。結果、よくわからん…。普通の小説でないことは確かだが、不条理というほどのことはないし、表現が前衛バリバリなわけでもない。原文で読む人は文学性を感知できるのだろうか。受け止め方に迷う作品である。雰囲気は静かなくせに激しく移動する。自動車学校の練習車、タクシー、鉄道、船、飛行機。短い小説ながらあちこち動く。不案内な土地で感じる、自己意識と世界とのザラリとした摩擦を思い出した。

2021/03/17

I am

ムッシュー→浴室→カメラと読んで、カメラが一番好きかも。夜パーキングから国道を抜ける途中、「泥まみれの草の上に、くず鉄やビール瓶の破片が散らばった植え込みの中で、まっ白なヒナギクが一輪、震えていて、通りかかる車のライトで断続的に照らし出されているのに気づいた。」こういう、いつか見たような繊細な描写がとても好き。

2010/08/05

マサトク

心地よく頭おかしい感じ。おかしさは、観察(というか描写というか)によって生起させうる、という証明のような小説。

2013/05/05

ango28

トゥーサン(いつも父さんと呼んでしまう)の中では一番好きな作品なんですよ。10年前に読んだときはカメラだけが印象に残っていたんですが、教習所の話が半分を占めていたんですね。やっぱりコレは良いです。この本を再び征服する為に、本がくたびれるのを待って一気に読み終えました。

2010/07/31

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