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微笑を誘う愛の物語

微笑を誘う愛の物語

微笑を誘う愛の物語

作家
ミラン・クンデラ
沼野充義
千野栄一
西永良成
出版社
集英社
発売日
1992-06-19
ISBN
9784087731514
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微笑を誘う愛の物語 / 感想・レビュー

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三柴ゆよし

クンデラただひとつの短篇集。ひとりの人間の生とはすべて「喜劇」である。と考えるのは私の勝手であって、それを「悲劇」と置き換えてみるのも、あなたの勝手である。好きにすればいい。けれどそうした二元論を踏み越えた境涯にクンデラの作品が屹立しているのは、ほとんど疑いようもないことで、完璧な「喜劇」が存在しないように、その逆もまた然り。ドン・ファンの末路も、無邪気なゲームの結末も、見事に形作られた悲しみであるところの彼女の尻も、そのいずれもが「喜劇」であり「悲劇」である。つまりはそれが人間の「関係性」ということだ。

2011/05/25

ソングライン

異性の肉体への幻想、その愛を得るための愚かな嘘、そして肉体を得た後に残る虚脱感。思わず微笑んでしまうような愚かな人間の愛を巧妙に描く短編集です。プラハの春のあとの政治的緊張感はこの作品集の中には、あまり感じられません。

2018/10/22

三柴ゆよし

とりわけ、好きな一冊。

2016/10/27

saeta

緊急事態宣言の再々発令で職場の近所の図書館が閉鎖されてしまったので、家本で。読みやすい本なので、空いた時間に取り出して読んでいたりするので、これまで何度読み返したことか。チェコ時代のクンデラは視点が明確でアイロニカルな鋭い心理描写が楽しめる。郊外の街に住む看護婦に会いに行く箇所など後の「存在の耐えられない軽さ」辺りと繋がっているように思う。

2021/05/09

34

重さと軽さの対比で言えば、本書の印象はずいぶんと軽い。それは本書にとって美点であって、あるいはむしろ美学である(たとえば比較的「重い」短篇には「軽い」ものが続くだろう)。この美学は、ベートーヴェンの晩年の弦楽四重奏にどこか似たところがある(これは、クンデラ自身ものちにエッセーで述べていること)。軽さの印象が成立するためには、それと対立するテーマが(止揚されることなく)自存してなければならない。その微妙な按配に助け舟を出しているのが、ボヘミアという永久に過渡的な(と呼んでみたくなる)地だったのではないか?

2016/11/24

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