赤い帽子の男
赤い帽子の男 / 感想・レビュー
ソングライン
赤い帽子をかぶる主人公は作者自身で、若き日雑誌の記者から始まり、現在は作家で、生命を脅かす病を抱えています。パリの女性画商や贋作問題に悩む画家との関りが描かれていきます。バスの車窓から眺めただけで引き付けられる絵、画廊にて魅せられた絵を思わず盗みたくなる誘惑など作者の絵画に対する思いが随所に現れます。特に、画家バルテュスの自宅まで招かれることになるインタビューは興味深く、このエピソードは、フィクションでないことが訳者堀江敏幸の解説により知らされます。
2018/01/18
渡邊利道
エイズにかかった男が絵画のコレクションにハマって漂うように生きる話。贋作をめぐるあれこれや、インタビュー記事の煽りとそのあとの反応、そして訂正記事の掲載の経緯などにから、嘘と裏切りのテーマが浮かび上がる。普通に小説がすごくうまい。解説で非常に細かく実際の人生との照応が論じられていて大変興味深い。
2020/09/01
やまはるか
巻末に22ページにも及ぶ訳者ノートが控えていた。こんなに緻密に読まなければならなかったのかと愕然とした。ギベールの次を読むときに挽回することにしてこの本は閉じたい。
2018/12/21
nami_dayawati.devi
好きな映画の主人公のモデルが著者である可能性がある、と聞き読んでみる。絵画コレクターで 痩せた病身の主人公。これは著者自身だろうが、登場人物とストーリーはどこまでが本当?絵画のように思い描いて読むと 悲壮感とグロテスクさが広がるが、そこが読みどころだと思う。
2011/12/01
感想・レビューをもっと見る