村上龍自選小説集 (3)
村上龍自選小説集 (3) / 感想・レビュー
Kamîyama
掌編よりも短めの短編が面白かった。文章がしっかりと組み上げられている作品はどれも意外性と物語らしい味わいに満ちている。舞台が南半球の作品、それも日本人が主人公でない作品が良かった。リアルかどうかはどうでも良くて、ただああそうなんだぁと思える。適当に入った酒場のカウンターで隣の客とかバーテンと話をしているときのような感じがする。距離感がしっかりある。そこがすごく良い。文章に関しては神懸かりと言わざるをえないようなレベルですね。
2014/07/28
昭和っ子
発売されてすぐ買いました。帯のシールを集めてキューバ音楽のCDももらいました。集められた短編の中で何といっても印象的なのは、香港が舞台の、異様に多い羽虫を生んでいる産卵体の体液を、自分の脳に注入してダンスの天才になる女の子の話。名声を得た彼女に捨てられたクラブのピアノ弾きの男性は、残酷なほどに冷たくなった彼女に導かれる様に、自らも作曲家として成功するのです。幻想的なお話が多く、痛々しいのよりこんな感じのが私は好み。
鉄火丼
後書きより▼「作家やその他の表現者は言うべきことや語るべきことがあって作品を作るわけではない」▼「伝えたい何かがあるから、作るのだ。アピールしたいわけでもないし、マニフェストしたいわけでもないし、抗議したいわけでもない。ただ、自分という容器にある情報を伝えたいというだけなのである」▼「表現者個人の欲望も、ある新しい表現のムーブメントも、いつかは終わる時がくる」▼「伝えるべきことがなくなれば、表現は終わる。伝えよう、このことを伝えなければというモチベーションが永遠であるわけがない」
2023/09/24
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