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神々の山嶺(下)

神々の山嶺(下)

神々の山嶺(下)

作家
夢枕獏
出版社
集英社
発売日
1997-08-05
ISBN
9784087742961
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神々の山嶺(下) / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

〔おれの中に棲みついた羽生丈二という獣〕―『サクリファイス』石尾が羽生ならば、『エデン』超弩級の呪いを背負ったチカは深町。『結局、ノーマルルートで登頂するということか』 どろどろとした、湯気を上げる内臓をぶちまけるかのような、想いの有りったけ。酸欠に喘ぐ息遣いすら感じる、問答無用・圧倒的な登攀描写。『そして――おれは、地球を踏んだ。』獏さん節全開の下巻。あとがきで『全部、書いた。全部、吐き出した。もう、山の話は、二度と書けないだろう。これが、最初で最後だ』と記す獏さんこそが、羽生で有り、深町ですね。

2011/01/13

ぶんこ

夢枕獏さんが20年以上かけて書き上げた傑作でした。 2人のザイルのうち1人が亡くなった時、また羽生さんが亡くなったと思われた時に、色々な憶測が流れました。 憶測を世間に公表できる人々の陰で、何十年も苦しむ人がいる。 羽生さんが涼子さんに送金していた事。 登頂という大事の前に深町さんを助けた事。 苦しくて切なくて、生真面目すぎる羽生さんがいとおしくなりました。 深町さんの懊悩と、それを汲んで、支援した涼子さんとツェリン。 不安だったろうに、登頂者と同じ位の勇気ある人達でした。

2015/04/12

クリママ

エベレスト山頂付近という極限の状況。それは、零下30度にも達する寒さ、平地の1/3しかない酸素。高山病による妄想なのか、それとも魂の独白なのか。序章は長く、冗長にも感じられた。しかしそれは必要なことだったのだと思った。あとがきにある、思いついてから書きあがるまで20年以上、6度にも及ぶヒマラヤへの来訪。10歳の時から山に登って体内に溜め込んできたものが全部出てしまった。それが感じられる作品だった。

2017/05/12

NAO

上巻と下巻で、羽生のイメージががらりと変わった。不運な登山人生を送ってきた羽生が最後にかけた大一番の勝負に深町が介入してよかったのかという疑問は残るが、最後の大一番だからこそ、しっかりそれを見届ける者が必要だったのだろう。それを見届けることで深町が大きく成長し、新たな挑戦にいどんでいく。登山家たちは、そうやってつながっているのか。自然との壮絶な戦い、極限状態にある人間の心理描写は、息苦しくなるほどの迫力だった。

2016/01/02

幹事検定1級

見事なエヴェレスト登山シーンだった。そして無酸素単独登頂を狙った羽生ではなくその姿を追いかけていた深町が達成するとは。人間の己の力だけでは到底無理と思われたその挑戦、壮絶とはこのことでしょう。まさに命を賭しての登山ですね。本の世界でそのすごさのほんの一端ですが感じさせていただきました。趣味と健康、仲間との貴重な時間を共有し、景色と山の空気を楽しむことを目的とした私の登山は、いよいよ今週土曜日に開幕。最初の山行は塔ノ岳、ヤビツ峠からの縦走です。(図書館本)

2016/04/06

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