ウエンカムイの爪
ウエンカムイの爪 / 感想・レビュー
モルク
カメラマン吉本は北海道で羆に襲われかけるが間一髪で謎の女性に救われる。1年後、羆の生態調査の取材に赴いた吉本は彼女と再会し、人を喰う羆「ウエンカムイ」の追跡に同行する。熊谷さんのデビュー作にして「小説すばる新人賞」の受賞作。手負いの羆の恐ろしさ、対峙の際の臨場感などドキドキする。が、後の名作「邂逅の森」とどうしても比べてしまう。「邂逅の森」の片鱗が見える作品ととらえよう。表紙の羆、爪を立て牙をむいているが、この目のせいか、なんとなく可愛らしい。
2020/09/13
ゆみねこ
カメラマン・吉本は、夏の北海道でヒグマと遭遇するが、突然現れた不思議な女性に窮地を救われた。一年後、再会した彼女と、幻のヒグマ・ウエンカムイを追う。大自然の中で生きる野生の獣、熊谷さんのデビュー作。
2016/12/11
まるぷー
アイヌ語で人を食う悪い神が憑いたヒグマはウェンカムイという。北海道南端の渡島半島で北大のヒグマ研が発信機を着けたテレメトリー法によりヒグマの追跡調査を行う。小山田玲子講師と学生の田山や猟師の柿崎に動物写真家の吉本が同行する。学生3人と熟練猟師を食い殺した金毛の巨大なヒグマを捕獲し発信機を着けるが、手負いとなり逃亡した。追跡する吉本らに忍び寄る恐怖、留め足かもしれないと柿崎が警戒を発するあたりから読み手も緊張が走る。手負いは必ず人を襲うため殺さなければならない。野生動物と人間の共存がどうあるべきか?
2021/07/06
あっちゃん
羆もの!無駄の無い内容で、少ないページ数の中で羆や自然、山に入る心得など上手く書き上げている!新人賞としては極上(笑)
2018/08/26
きら
北海道でヒグマに襲われかけた吉本は、間一髪のところで謎の女性に助けられる。その一年後、動物写真家としての第一歩を踏み出し、ヒグマの生態調査の取材に赴いた吉本は恩人と再開するが…… この手の小説にしては珍しく、文章自体にも物語の展開にも仰々しさがまったくない。その分、グロテスクな描写に耐性にない人でも読みやすい小説となっているものの、どうしても迫力不足なのは否めない。主人公の成長に焦点を当ててるから、というのはわからないでもないのだけれど。せめて最後の対決シーンとかもうちょっとボリュームがあれば、と思う。
2012/03/29
感想・レビューをもっと見る