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虹の谷の五月

虹の谷の五月

虹の谷の五月

作家
船戸与一
出版社
集英社
発売日
2000-05-26
ISBN
9784087744675
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虹の谷の五月 / 感想・レビュー

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みも

素晴らしかった。作品全体を覆うその凄みに圧倒された。改めて感じたが、巷に溢れる何か物足りない作品というのはこの凄みに欠けるのだ。そしてその完成度の高さ。ラストの帰着点へと繋がる伏線の数々は、全体像を掌握しているからこそ成し得る。時に不要に見えるエピソードも、全てが物語全体を形成するある種の部品として不可欠なものであり、その緻密な積み上げなくして結実の感銘は得られない。そのスケール感は言うに及ばず、ノンフィクションに勝るとも劣らない細緻がリアリティを支えるが、参考文献が少なく著者の知見の豊富さには驚嘆する。

2024/05/12

遥かなる想い

2001年このミス国内第六位。 フィリピンを舞台にした本書は、長編ながら、読者を飽きさせない。ホセ・マンガハスの描写がよい。一人で闘うその孤高の姿が共感を覚えさせる。

2010/04/28

キムチ

初っ端より展開する空気感が圧巻―ヌルヌル、ベチャベチャ・・血、体液、銃声、ラム酒と怒号。加えて闘鶏の喧騒の凄まじさ。主人公 おいらの視点で展開する3年の濃密な時間。爺ちゃん、ホセ、メグとラモン、Dr中野とセーラ、。。時が流れ・・誰もいなくなった。累々たる屍。何度も登場するまん丸い日輪。現れる虹色の谷の幻想的な情景。ラスト まぐわりを終えた若い2人の未来への眼差しが浮かび上がる・・流れる南風の風。抗日人民軍ゲリラの歴史、腐敗しきった首長や警察署長と闇との結託。日フ間の春を鬻ぐ歴史。全てをひっくるめ 迸る熱情

2021/06/19

ALATA

本棚本再読。フィリピン・セブの片田舎に暮らすジャピーノ、トシオの思春期の成長譚。元・抗日人民軍の爺っちゃんと貧しいながらも懸命に生きる姿が健気。最後のゲリラ兵ホセの静かな眠り、病を押して思いっきり生きた娼婦トニア、十五歳になって爺っちゃんの世話をする少し大人になったトシオがまぶしい★5※ガルソボンガから虹の谷へメグと向かう朝、まん丸な希望の虹が掛かる。‘船戸節’さく裂の冒険小説なのに甘酸っぱい思春期の香りがする。

2022/09/25

GAKU

1980年代から1990年代のころの作品は夢中になって読み耽っていたのですが、以降はご無沙汰していた船戸作品。今回手に取ったのは2000年の直木賞受賞作品、二段500ページを超える長編。これぞ冒険小説!久しぶりに船戸ワールドを堪能しました。面白かった。感動した。これを機に、2000年以降の他の未読の作品も読んでいきたいと思っています。このような冒険小説を書く作家さん、現在は居ないですよね。今更ながらもう新作が読めないのが残念です。

2024/10/04

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