シーボルトの眼 出島絵師 川原慶賀
シーボルトの眼 出島絵師 川原慶賀 / 感想・レビュー
さかぐち
出島絵師としてシーボルトにも仕えた川原慶賀の物語。教科書にやけに写実的な植物の絵が載っていたのを覚えているが、あれはこの人が描いたのか!シーボルトをできる男ととして認めつつも、心酔するというわけではなく、飄々としている。心酔したのは北斎か。北斎の天才性に心酔しつつも、自分の持ち味にもまた自信をもって仕事に取り組むあたりが良い。バランスのとれた大人というイメージだった。北斎とその娘、応為との交流も面白い。シーボルト事件のくだりは切ないなあ。
2015/05/06
Book Lover Mr.Garakuta
図書館本:読了。以前に読んだ記憶があるが、読み直したく思い再読。正直面白いですし長崎と言う独特のにおいをかぐことが出来た
2018/11/23
MIU
残念ながら、各章に相当する絵を観ながら読む贅沢は出来なかったが、単に読物としても起伏に富んで全く飽きなかった。出島を訪う前に、この本を読んで置きたかった。出島と言うかなり特殊な場所に於ける様々な力関係、この特殊性に順応する長崎の人々…色々な糸が見事に織り込まれて居る。
2018/07/13
しん君
朝井まかて著『先生のお庭番』ならぬ『先生のお絵描き番』 長崎にいれば普段から当たり前のように見る昔の風景画。描いたのが慶賀とは知らず、今更ながら自身の無知蒙昧を恥じる。一介の町絵師がシーボルトと出会ったことで波瀾万丈な人生を歩むことになってしまった物語。当時写真がなかったのだから慶賀が描いた絵はまさに資料。しかも大多数が海外へ渡り世界に日本を知らしめたのだから凄い。模写するだけでなく陰影などの西洋画の技法を取り入れたのも慶賀が最初らしい。シーボルト記念館へ行ってみよう。
2020/06/22
ななな
朝井まかてさんの「先生の御庭番」繋がりで読了。こちらの作品の方が主人公がシーボルトに心酔してなく、淡々とした印象。人間関係というより画家の創作意欲で本が進んでゆく感じ。シーボルト事件のくだりでは張本人は捕まらず、周囲の人が次々と牢に入れられるなんてやはり切ない。そして江戸のレンブラント、応為はいかにしてあの画風を手に入れたのかが気になる。レンブラントの絵はいつの時代に日本にやってきたのだろう。
2016/03/02
感想・レビューをもっと見る