赤い竪琴
赤い竪琴 / 感想・レビュー
tomo*tin
独特な空気と湿度を持つ美しい文章で綴られる極上の「大人の恋愛」。故人の思いをなぞる様にして交差してゆく思いが透かし絵みたいで、訪れる終りの予感に心が占拠された。恋愛は脳ではなく心でするもので、だからこそ始末が悪い。そして、潜めた思いほど強く尾を引くもの。心は考えることは苦手なのに感じることには敏感で、鍛えることが難しいのですね。作中の詩もとても素敵でした。久々に恋愛小説で泣いちゃった。
2009/03/22
メイ&まー
当初、とっつきにくいかと思われた文章も、かえって現実臭さがなく思う存分幻のなかに遊んでいられた。夭折の詩人の遺したノート、祖父母たちの恋、楽器、コンソート、鯨・・・そんな小道具にもたすけられてずっと物語の中に。ベランダのエピソードはまるで少女漫画みたいできゅんとしたけど。気になってるひとにそんな助けられ方をしちゃあダメ押しだねー。終わり方もすこし光が見えるようで。その後のことはまたちがう物語になりそうだけど。
2014/07/20
えも
戦死した無名詩人とその恋人の孫同士である、30代の楽器職人とデザイナーとの不器用な恋■思ってたんとちゃう!■今まで読んだ津原作品とは毛色が…。色々と書けますねえ。
2014/02/11
そのとき
んー。コウスケは惚れられる男性だろう。しかし暁子の魅力がわからない。臆病というか、卑怯な台詞もあるし振舞いも可愛くない箇所がある。後半の切なさは胸に迫ったが、結局竪琴はタイトルになる程重要だったのか、最後なに?結局一緒に闘病するわけ?なんで?バッサリ切り替えた美絵子の方が私は好み。
2018/08/27
maimai
再読。傑作だと思う。初読時も感じたことを改めて確認しながら読んだが、やはりこの恋愛小説の結末は、ハッピーエンドともバッドエンドとも読み取れる。素直に読めばより強くはバッドエンドを暗示していると思うが、それゆえにハッピーエンドであることを祈らずにいられない結末、とでも言おうか。なんという過酷。少女小説時代は別にすれば、津原泰水という作家は恋愛を小説の中心モチーフに持ってくることの極めて稀な作家であり、長編に限って言えば、これが唯一にしてド直球の恋愛小説。しかも同時に極めて津原泰水らしい小説であるという奇跡。
2018/05/27
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