蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)
蒲公英草紙 常野物語 (常野物語) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
『光の帝国』の「大きな引き出し」春田家の祖先でしょうか。地方の名家・槙村家に訪れた常野一族の春田一家4名。定住者にとって常野一族はまれびとだったのですね。光比古通じて《しまう》《響く》明かされる異能力。その昔、槙村家に嫁いだ常野の娘が鳴らす半鐘。子供たちを導いた聡子様。現実の災害浮かんで胸が痛むシーンも。指切りげんまん、聡子様の果たせなかった約束と仏師・永慶への恋心。明治のモダンな雰囲気と戦争前の不穏さ、価値観の変化。民話のようで有りながら、時代背景と人物に引き込まれ一気読みの長編でした。
2012/02/12
あつひめ
常野シリーズとは知らずに読んでしまったが、丁寧な語り口がとても気に入りました。人が人を思いやる心。常野出身の嫁が嫁ぎ先を助けた話、いつか自分の出身の者が頼って来たら助けてくれと…自分のことでなく先のことを見通すところは胸に迫るものがある。運命を信じる。運命は変わる。運命を待つだけではどうにもならない…。本当にそうだと思う。私もこの言葉、肝に命じたくなった。
2013/10/22
冴子
前作「常野物語 光の帝国」を読んだのはもう20年くらい前なかなぁ。あの時はそれなりに面白かったけど、これは何だかなぁ。設定はそこそこだけど、やっぱりこういうファンタジーに向いてないのかもしれない。聡子は素敵な人だったな。
2017/02/10
kishikan
久々の恩田作品。それも常野シリーズは初めて読んだが、心に響く作品だった。明治期の東北の片田舎。代々、村を守る使命を持ち住み続けてきた一族。その旧家のお嬢様聡子、その話相手として選ばれた峰子との間で起きた出来事が、峰子の若き日の思い出話として描かれている。田舎の情景の美しさ、人々の優しさ、そして聡子との別れのつらさ、優雅でいて、切なく甘い、そんな記憶にいつまでも残る名作だと思う。常野シリーズはこれからも読んでいきたい。
2010/11/01
たいぱぱ
大好きだった「光の帝国」の続編。とは言っても不思議な能力を持つ常野一族が出てくる以外は続編だけど全く別の話です。とある農村の旧家・槇村家に病弱なお嬢様・聡子がいた。聡子の話し相手を務める少女・峰子の日記がこのお話である。槇村家を訪れる様々な人たち。ある日不思議な力を持つ春田一家が訪れる…。僕はこの本を家族みんなが居る居間で寝っころがって読了したのですが、涙がポロポロでてきて止まりませんでした。美しくて、なんだか懐かしくて、胸が暖かくなって、そして切ない。こんなに凄い続編を書くなんて恩田さんはやっぱり凄い!
2008/10/20
感想・レビューをもっと見る