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ロックンロール七部作

ロックンロール七部作

ロックンロール七部作

作家
古川日出男
出版社
集英社
発売日
2005-11-25
ISBN
9784087747874
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ロックンロール七部作 / 感想・レビュー

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masa

「ロックは死んだ」このパンチラインは1978年のサンフランシスコでピストルズのロットンが商業主義へ悪態をついた強がりだ(と僕は信じてる)。3年後のシアトルで少年が誕生日に叔父からギターとアンプをプレゼントされた。彼を"ダウナー"と呼ぶ。弱さと痛みで成立するダウナーの音は零から騒々された。零から1の想像と1から2の創造は同じエネルギーではない。そして初期衝動はいつだって零から1の側にある。ダウナーは気怠さと繊細さのアンバランスで1991年にロックを蘇生させた。自ら物語を退場したけれど今でも魂は流転している。

2020/11/20

眠る山猫屋

語り手“あたし”が紡ぐ、ロックンロールの進化史・・・ではない。作者得意の壮大な偽史。とにかく格好良い。20世紀半ばに産まれた音楽にまつわる細やかだけれど、後世に拡散したかも知れない物語群。第一部は1964年英国・自分の才能に溺れたミュージシャン・曇天(仮名)の遺した曲が海を渡り、サハラの少年に見出だされ、後に傭兵になった彼が口ずさむ音がアフリカ中部の部族の娘たちに引き継がれてゆく。第二部、ディープサウス。ブルースと鰐しかいない沼地で、殺人によって継承されていく手製ギターとブードゥーのタリスマンの旅路。

2022/10/26

hit4papa

七大陸を舞台にした20世紀ロックンロールの発展史です。(アフリカ大陸、北米大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸、インド亜大陸、南米大陸、南極大陸。時は、1901年1月1日から2000年12月31日まで)語り手”あたし”がつむぐのは、まさにロックの精神に裏打ちされた破天荒なほら話。登場人物が次々にバトンタッチをして、ストーリーを作り上げていきます。生々流転する人々の生き様と死に様に、ロックンロールが重なり合う、疾走感あふるる全七話に、魂を震わせよ!お話よりも、著者の博識ぶりに感嘆していまいました。

2019/09/07

さっとる◎

20世紀は何の世紀だったか?戦争の世紀だ。それを騙り直す、犬で(ベルカ吠えないのか?)、そしてロックンロールで。七大陸を舞台にロックがロール(流転)する。物語はいつ、どこからでも出発できるけど、とりあえずの地点が必要で、それは20世紀で地球だ。普通に認識される史実とその陰に隠れた奇跡。終わってからでないと括れない20世紀は、ロックの大いなる奇跡誕生の瞬間に満ちていた(と、あたしは断言する笑)。翻訳可能な人名は翻訳され亀吉が幸運な亀になったり、嘘歴史の語り部古川日出男作品の中でも最高にクールでロックな1冊。

2017/04/28

さっとる◎

どこにも行けないで腐りかけたまま凍結/フリーズしていた私の周りを転がっているのは時間だけだと思っていたけど、そんな時でもロックはちゃんとロール/流転してたんだ。二十世紀から。どこででも。それって控えめに言って僥倖。ロックンロールは鳴り止まないで大陸をロールしつづけた。しつづける。それを希望と呼ばずに何と呼ぼう?ロックがロールして奇跡が生まれる。そんなこと本気で信じてる。たとえば砂漠で誰にも聴かれないまま太陽に溶けても。地球の南端で氷と一緒に閉じ込められても。愛が過剰すぎて殺してしまう前に届けって思うんだ。

2020/07/26

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