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水銀虫

水銀虫

水銀虫

作家
朱川湊人
出版社
集英社
発売日
2006-09-26
ISBN
9784087748130
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水銀虫 / 感想・レビュー

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🐾Yoko Omoto🐾

自分の歩む道は、一体どこで平凡な幸せから逸れてしまったのだろう。誰かの仕掛けた陥穽に陥ったのか、自業自得なのか、それともこの結末こそが己の運命だと言うのだろうか。ほんの僅かな悪意、嫉妬、疑心暗鬼、無邪気な残酷さ、そんな心の隅に燻る負の感情たちが、取り返しのつかない終焉を呼んでしまう、七つの罪と罰の物語。自らの罪に激しく襲いかかられた時、首筋に感じる奇妙な蟻走感は、魂の中に入り込み無数の穴を空ける水銀虫の蠢き。逃れる術はない。マイベストは強烈な因果応報を描いた「薄氷の日」、残酷すぎる結末が辛い「微熱の日」。

2016/09/12

いつでも母さん

昨日のお昼に美味しいハンバーグを食べた。しばらくは食べられないー『虎落の日』を思い出すからーこの7編からなる朱川湊人の世界に「ようこそ!」だ。私の心の中にも『甲虫』が巣食っている。いつか、なにかの拍子に蠢き出すかもしれない。その時が来ませんように・・

2017/08/12

miyumiyu

人の心に寄生し、死へと導く水銀虫。おぞましい「しぐれの日」と「虎落の日」。逃れられない因果の「薄氷の日」。残酷すぎて凍りついた「微熱の日」。どれも救いがなく後味悪い。黒朱川さんの魅力である〝切なさ〟がないと、こうも残酷で救いがない。「無限のビィ」と並んで、数少ない苦手な朱川作品。

2017/07/24

とろこ

表紙のグロテスクさに、思わず、ウェッとなった。7編から成る短編集。どれも特殊な設定ではなく、ありふれた日常から始まる。けれど、人が抱えている疚しさや嫉妬や猜疑心などといったものが、その穏やかなはずの日々を狂わせていく。中には自業自得といえないものもないけれど、理不尽なものもある。「薄氷の日」の奈央。彼女には同情も何も覚えない。因果応報。それなりの報いを受けたことだろう。きっと、道を踏み外す穴は、私たちのすぐ隣に開いているのだろう。そこに落ちてしまわないように、マイナスの気持ちはできるだけ抱かずに生きたい。

2018/11/22

しろいるか

うわっ、これは表紙からして黒でしょ、と思いつつ手に取ったらやっぱり黒朱川だった^^;『枯葉の日』『しぐれの日』『はだれの日』『虎落(もがり)の日』『薄氷(うすらい)の日』『微熱の日』『病猫(やみねこ)の日』どれも人間の業(ごう)深さを描いた短編7作。全般的にそんなに怖くないけど、ページが進むにつれ胃のあたりがどんよりと重たくなるような後味の悪い物語が連なる。中でも因果応報がもっとも判りやすい形で描かれ、曖昧な余韻を持たせた『薄氷の日』が印象的。また、作中のとある描写は苦手な人もいると思うので要注意。

2013/08/21

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