初恋温泉

ウッディ

熱海、青荷、祇園、那須そして黒川、温泉地を舞台にした5つの恋愛模様。愛する妻から別れを切り出された翌日の夫婦、脇役に甘んじるおしゃべりな夫婦、罪悪感を捨てきれずに来てしまった不倫旅行、それが原因で夫婦仲が壊れたのに保険勧誘を止められない夫、初々しい高校生カップルの初温泉旅行など、コミカルあり、少しホラーもありの短編集で、どれもその後は読者の想像に・・という感じでスッキリしない部分もあったが、温泉宿の静謐さ、自然の中の無力さを「音が消えた」と表現する吉田さんの感性が光る一冊でした。

2020/09/12

milk tea

この本に出てくる旅館やホテルは実在するそうです。5つのお話を読みながら風景や温泉を想像するのもいいですね。。「白雪温泉」もよかったのですが、最後の「純情温泉」が特に良かったです。高校生カップルが爽やかでキラキラしていました。若いって羨ましい。

2018/10/23

里季

五つの温泉地での五つの男女の物語。わぁ、お正月からこんなの読むんじゃなかったよ～、とうらやましくて、寂しくなってしまった。青森青荷温泉に泊まったメッチャよくしゃべる夫婦が面白かった。もう喋りまくりの旦那に唖然。私の父も夫も無口だったのでこんなによくしゃべる愉快な人と暮らしてみたかったな、と思った。そのよくしゃべる夫婦のお隣の部屋のお客さんは、どうやら聾唖者のふうふらしい。その対比がよかった。最後の、高校生カップルがワクワクドキドキで温泉に一泊するお話は、初々しく、可愛くてほのぼのしてよかった。

2014/01/04

momogaga

熱海温泉、青荷温泉、那須温泉、黒川温泉と旅館祇園畑中のお風呂が舞台。温泉小説として楽しまさせていただきました。特に心に残ったのは、青森県の青荷温泉が舞台となった「白雪温泉」です。季節は真冬のお話ですが、読み終わったら心が温かくなります。お勧めです。

2021/02/23

てんちゃん

イベント絡みで読みましたが、あら？期待以上。「温泉宿」を舞台にした五組の男女の恋模様。さらっと描かれているが、温泉をモチーフにしたことで、日本らしい情緒がかしこに見受けられる。ほのかに感じさせる悲哀も良い。川端康成さんの雪国を、現代っぽくさらりと書くとこんな感じかなぁ…なんて考えてしまった。ちょっと誉めすぎかな？でも、ともかく、なかなかに、良かった。

2017/04/02