恋七夜
恋七夜 / 感想・レビュー
としえ
北野天満宮の門前にある花街で、太夫をつとめる富子。秀吉の大茶湯を控え準備に追われる中、茶道具を留める花結びの技とその結師・源四郎に心惹かれていく。あまりにも厳しく己を律する源四郎、太夫は決して客に惚れてはならないと解っていながらも源四郎に惹かれていく富子、その富子に想いを寄せる花屋兼用心棒の清十郎。それぞれの想いが切なくてたまらない。富子付きの禿・国ちゃんも良かった。七歳という年齢を忘れてしまうほど、空気の読み方・気のつかい方が凄すぎる。
2014/08/17
鬼山とんぼ
北野天満宮上七軒の太夫を主人公に、並行して秀吉への政権交代期の裏面を描いた佳作。著者生涯のテーマともいえる本能寺の変の背景として、足利将軍と朝廷の連携、戦略商品である硝石と鉛を牛耳るキリスト教宣教師の暗躍があった。黒田官兵衛らキリシタン大名の実力を活用し天下を取ったものの、その後禁令に転じながらも、スペインの支援を当てにして朝鮮征伐に乗り出した、複雑な秀吉の行動を理解する一助にもなった。この作品以降、間口を広げて武将以外を主人公とした作品が増え、歴史の理解を大きく深めることができたことに感謝している。
2021/07/19
ピンクピンクピンク
安部龍太郎さんは盛り上げ方がとても上手い。北野大茶会の場面はものすごくドキドキした。序破急の三章に凝縮されていて読みやすく、おもしろい。
2016/02/01
ひなこ
素敵なお話だったなぁ。。。読了後、暫くそんな余韻にひたれるような、そんな作品でした。昔学校では習った秀吉公時代の政治的出来事。権力や思想、芸や技に生き翻弄されたた人々それぞれの気持ちが生き生きと描かれていて、読み始めは、お爺のネチこ〜い恋物語やなぁーと冷やかし半分ながら。でも読み進むうちに、時代ものとは思えないようなテンポの良さにどんどん惹き込まれて行きました。結師(ゆいし)という職の存在を初めて知り、茶道や舞、花街の仕来りなど、日本人として京都人として、もっと深く知ってみたいなぁと思いました。
2013/03/02
まりこ
安部龍太郎さんの本は時々物足りないと思うのがあるが、これはちょうど良い感じで面白かった。太夫の話が軸になり、恋愛、秀吉暗殺、結師の話がある。太夫の出自は割とあっさり分かった感があった。
2016/03/13
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