翼: Cry for the moon
翼: Cry for the moon / 感想・レビュー
UK
実に読み応えのある小説。苦手な幼児虐待が背景にあるのでちょっと引きずってしまうが、再生・再出発のストーリーなので後味は悪くない。母親に愛憎裏表の虐待を受けた真冬という女性。その恋人ラリーの前妻にやはり虐待された幼い息子のティム。ラリーの生家の人々もいずれも心に傷を抱える人達ばかりだが、それが人生だろうという骨太の強さを感じさせる。お見事。美味しいコーヒーばかり飲んでいるとこの人の凄さを忘れそうだな。
2016/11/28
ゆかたん
いいな~。気持ち良さそうな景色だった。ブルースがかっこよかった。幼い頃のつらい出来事はなかなか乗り越えられないけれど、よい経験をさせてもらったと思えたらいいな。
2016/05/16
慈雨
村山由佳の恋愛小説を読みたくて手に取ったが、軽く…読む本ではなかった。マフィとラリーの物語かと思って読み進めていると、奥の深い物語が下から出てきた。 今年の4月ごろからナホバ・インディアンの話を聞くことが多かったが、この物語もナホバの考えが後半、いたるところに出てきた。ウドゥン・レッグの言葉、ナホバの言葉にうなりながら読了。マフィが、ティムが幸せを感じていたらいいのだけれど。 いや、感じているはず。そして、ブルースも。
2014/09/22
こみっくま🍏OTONA JAM’S
ネイティブアメリカンと白人との混血、ブルースそして真冬、ラリーの息子ティム、この3人の周りからは分からない彼らだけがかもし出す空気のようなものがなんとも言えず良かった。 読後の一番の印象は村山さんの描写力がすごいのか壮大なアリゾナの風景が読んでいて想像できて綺麗な話だなと思った。行ったこともないのにアリゾナの青空の青とグランドキャニオンのごつごつとした岩山の風景のコントラストがキレイ~と勝手に妄想していた(笑)。この作品は文句なしの★5つ!
amanon
どうしても人に言えない傷を負うということ。それをあえて言おうとする試みはどうしたって困難を極める。幾多の困難と喪失を経て、その傷と正面から向きあうという新たなステージへと踏み出した主人公真冬の壮大な魂の遍歴。幸せの絶頂から真っ逆さまへと落ちていく展開は、薄々予想できたとはいえ、やはり度肝を抜かれた。また、改めて著者の伏線の張り方に感心させられることに。この人読者のツボを本当に心得てるな…と。特にブルースの登場のさせ方とその後のプロセスには舌をまく。後、敵役クレアとイライザが見せる人間臭さも印象的。
2018/06/12
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