でいごの花の下に
でいごの花の下に / 感想・レビュー
Shoji
先の戦争で沖縄は二つの国を敵にしていた。 米国と本土と。 戦中、沖縄は本土の犠牲になった。本土決戦までの時間稼ぎに沖縄は大本営に利用された。 戦後、生きて行くためには悲しくも米国に頼らざるを得ない人もいた。挙句、望まれず生まれてきた米兵のDNAを持つ子どももいた。 とても重たいテーマ。私などに語る口はない。ただ、風化だけはさせてはいけないと思った。
2016/05/23
あつひめ
沖縄の青い海白い雲・・・元気であっけらかんとした笑顔。でも、その裏にはこの世のものとも思いたくない辛くて悲しくて一生消す事のできない恨みが渦巻いている。教科書で語られている範囲。私もその程度しか知らない。そしてあの青い海に惹かれる者の一人。同じ日本でありながら心は遠く異国のような距離があるようだ。自分の手を見るたびに罪の大きさに慄きながら生きていたのかもしれない。語ることができるうちは不幸ではないのかもしれない。本当の不幸は口に出す事すらできないのかもしれない。沖縄の存在を改めて感じた作品でもある。
2011/02/19
horihori【レビューがたまって追っつかない】
沖縄を舞台に静かに紡がれる物語。死を匂わす置手紙を残して消えた恋人を探すため、彼の故郷沖縄に向かった主人公。手がかりは、いくつかの言葉とカメラマンだった彼が残した使い捨てカメラだけ。彼を追って、つてを辿るうちに彼の過去だけでなく、日本人として恥ずべき戦争の傷跡を目の当たりにする。明るく陽気なリゾート「沖縄」のイメージを逆の視点で捉えているところに共感。ゆるやかな時間の流れと南国の明るさを感じさせる一方で、温かな言葉の底を流れる哀しみと諦念が顔を覗かせる。ラストの恋人が遺した写真に、救いを感じ感動した。
2007/12/03
wanichan
夏に沖縄へ行くので、沖縄の小説を読み始めました。失踪した彼を探しにやって来た主人公。そこで沖縄の風土や戦争が残していったものものに触れる。青いきれいな海だけではない沖縄を、しっかりと目で足で心で感じたい。
2018/04/30
ミーコ
池永さんの作品は好きなので、図書館で見付けて読みました。耀子がどんどん嫌な女になって行くのが 読んでて気分悪かったけど ストーリー自体は感動しました。 沖縄の歴史を知って 本土の犠牲になった事に衝撃を受けました。そんな辛い事だらけの人生なのに おじいや おばあの深い人間性には心を打たれました。こういう事が有って 今が有る事を忘れてはならないと思い、胸が痛かったです。
2013/10/15
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