風吹く谷の守人
風吹く谷の守人 / 感想・レビュー
NAO
浄土真宗本願寺派一掃を画する信長の息のかかった領主と、「極楽」を餌に領主殺害を指示する僧侶。二重の主の間で苦しむ越前の人々。ついには僧侶の首を差し出して赦しを求めるも、人々の必死の願いをも退ける信長の冷酷さ。村の娘結衣が夢見た桃源郷は、この荒んだ時代、誰もが夢見た場所だったのではないだろうか。
2019/12/07
巨峰
世界史の中では大虐殺事件がすくなくなくて、それを題材にした文学作品も沢山書かれていると思うのだけれど、日本史上では数少ないことは幸せだともう。織田信長の越前浄土真宗に対する例外的な大虐殺事件を、小さな山村を舞台に描き切った作者の野心作だと思う。驚くほどたくさんの人が死ぬ。幼いころ忍びの訓練を受けた少女「結衣」は、山村の住民を守れるかどうか。真宗門徒の私にも興味深く一気読みした。
2016/08/15
MarsAttacks!
一向宗の横暴に、織田信長の侵攻に、立ち向かった少女と越前のある村の物語でした。少女の生い立ちや、その強さなどの設定が、あるマンガを連想しましたが、少女の戦闘の描写、情勢に翻弄される民など、結構面白かったです。それにしても村の人々が弱いのは、分かるのだけれども、結構死にすぎのような感じがします、でもそれが哀しいけど現実なのでしょね。
2012/12/10
マムみかん(*感想記入少なめです*)
織田信長と本願寺の争いが引き起こした越前一向一揆。 その凄惨な戦いに村が巻き込まれたことで、自分が何者かわからなかった少女・結衣は、自分に備わった戦闘能力に気づく…。 実は、戦国時代ものが苦手です(笑) 武将たちの覇権争いならまだしも、一般の民衆が理不尽な力でなぎ倒されていくのは辛い! さらに一向一揆の場合は、極楽へ導くはずの僧侶が民衆を戦に駆り出すという異常な状況で救われない! ラストはファンタジーっぽいですが、前向きにしっかり生きていこうとする若者たちにホッとできました。
2012/02/14
onasu
興隆する織田家中にあっての柴田権六の後に、朝倉家を滅ぼされた後の越前の山村の話しが読めるとは偶然の賜物。 織田家に与した武家の支配を一向一揆の勢力が倒したところから、再度の侵攻に遭うわけだが、宗徒の頭たるくそ坊主(実際は?)は武家より始末が悪く、宗徒憎しの信長には撫で斬りの憂き目に遭うが、この村には腕の立つ流れ者の父娘がおり、危難に立ち向かってくれ…。 題名と装画からはファンタジーを予想したが、それは思いの外薄めで惨劇だらけ。近世への移行には致し方ないのかもしれず、こういうのも読んでおくべきなのかも。
2019/03/17
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