波の上のキネマ
波の上のキネマ / 感想・レビュー
鉄之助
映画愛にあふれた物語だった。かつて「(大阪)尼崎は映画王国」だった、とか「大阪の映画文化は、沖縄の人が支えていた」(3割の映画館主が沖縄出身者)とかハッとさせられる文章でグイグイ引き込まれていった。話は、ジャングルの映画館になったり、日本と台湾の関係だったりダイナミックに進むが、最後はしりすぼみ感があり、期待が大きかっただけにちょいガッカリ。
2022/09/08
ナイスネイチャ
尼崎の小さな映画館を経営する3代目主人公。シネコンの波に押され、廃業を決意するが祖父の過去に触れて行く。西表島が炭坑でこんなに過酷な歴史があったとは。その炭坑での心の拠り所が映画だったという感動的なお話。途中の描写が酷いが読んで良かった。
2018/12/11
とん大西
尼崎、街中の小さな映画館「波の上キネマ」。存続か閉館か。シネコン全盛の昨今、現実と郷愁の間で思案に暮れる俊介。答えは南国の理想郷にあった。戦後間もない頃、「波の上キネマ」を創業した祖父・俊英の思い。今は亡き俊英が映画に託した思い。語ることなく星霜を経た俊英の昭和。それは、深く、うるわしく、切なく…。『ニューシネマパラダイス』のサントラが優しく響くような冒頭。『ショーシャンクの空に』を思い出すような希望と絶望と渇望。「激動」という表現が躊躇われる昭和初期の漆黒と混沌。その時代、祖父は確かに生き、生き抜いた。
2020/05/10
おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…
87/100点 初読みの作家さん。重いひたすら重い、けどめっちゃ面白かった作品です。尼崎にある廃業寸前の「波の上のキネマ」という名前の街の映画館。最初はその映画館に纏わる現在の映画業界の状況に関する話しと思っていたら全然違いました。西表島にある宇多良炭坑における昭和初期~終戦までの悲惨な状況を綴った物語でした。主人公の祖父が騙されて来た場所は、周りをジャングルと海に囲まれた脱走不可能な炭坑での過酷な労働と劣悪な環境。そこから脱出するまでの物語は、まるで大作映画を観るような満足度溢れる読後感でした。
2018/11/16
ゆみねこ
祖父が創業した小さな映画館「「波の上のキネマ」。70年を経て廃業が決まったとき、祖父を知る人物が訪ねてくる。祖父の若き日の苦闘、祖母チルーとのこと。西表島の炭鉱とジャングルの映画館。これ、もっと多くの人に読んで貰いたい本です。お薦め本。
2019/03/22
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