池田理代子第一歌集 寂しき骨
池田理代子第一歌集 寂しき骨 / 感想・レビュー
mocha
池田理代子さんと言えば、その容姿や世間を騒がせるほどの行動力から、華やかでドラマティックな人というイメージがある。そんな人にももちろん家族への思いやコンプレックスがあるということ、老いの怖さ、恋の苦しみ、あまりにも赤裸々な歌の数々に苦しくなった。特に愛猫の死。歌は嘘がつけない。エッセイ以上にリアルな心情が突き刺さってくる。漫画、オペラ、短歌、表現することが池田さんにとって生きるということなのだろう。
2021/05/08
ぐうぐう
池田理代子の第一歌集。ただ、歌集として読むと、弱さは否めない。不器用さが目立つのだ。しかし、その不器用さが池田の真面目さ、あるいは正直さを伝えてもいて、好感を抱かせる。11のテーマに沿った歌が詠まれ、テーマごとにエッセイが書かれている。そのエッセイがいい(と言うと、作者には不満だろうが)。つまり、歌とエッセイをセットとした歌文集として読むのが正しいのかもしれない。「人知れず咲く野の花に惹かれおり 世間の人は薔薇をくれるが」なんて、漫画家としての彼女を知る読者をニヤリとさせる歌もあれば、(つづく)
2021/01/06
いーたん
ベルばらは、人生に大きな影響があった、私にとって完全に漫画の域を超えた作品。その作者の池田理代子さんについても、二十代でベルばらを産んだこともさることながら、功なり名をとげてから、音大生となりオペラ歌手に挑戦されていて、オスカル並みに敬慕していた。その理代子さんが短歌集まで出されたとは!ご両親、初恋の人、愛猫、最後の恋、知らないことばかりがエッセイと短歌で紹介されていた。御年70歳をすぎてなお、カッコいい!彼女をして「恐るべき成熟と、うそ寒くなるような子供っぽさ」と評された、高校の恩師の慧眼に脱帽です。
2021/07/04
スイ
こちらがたじろぐほど赤裸々な、各パートの前書きが興味深い。 が、その前書きに書かれたことが、ひねりなどなくその後の歌に詠まれているので、短歌がエッセイの一部という印象で、もったいなく感じた。 いっそ前書きは全てなしでも良かったのでは…。 タイトルにもなっているが、骨が出てくる歌が多く、面白かった。 その辺りをもっと詠んだ歌を読んでみたい。
2022/03/14
双海(ふたみ)
著者は『ベルサイユのばら』の池田さん。父、母、初恋、老い、そして最後の恋。私的で普遍的な11のテーマについて、身体の奥底から湧き上がる想いを短歌とエッセイで綴った一冊。「人間は 矛盾の中に漂へるひとひらの花と書きくれしひと」「受話器より漏れ来る声のかそけくて 深きしじまに耳そばだてぬ」
2023/07/21
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