波 蒼佑、17歳のあの日からの物語
波 蒼佑、17歳のあの日からの物語 / 感想・レビュー
どぶねずみ
今年が東日本大震災から10年という節目に相応しい1冊。あの時のあらゆる不条理が、一言では語ることのできない生々しさで起こっていた。頭でわかっていても、実体験しなければ記憶が薄れていく。身元がずっと見つからないよりも、亡くなったとわかる方がいかに安堵感があるか。恋人と繋いでいた手を離してしまい、時速700kmのスピードで襲ってきた津波の濁流に呑まれてしまった罪悪感。時間の経過とともに、恋人から受け取ったベートーベンのバイオリン協奏曲のCDがどれだけ17歳の少年の心を癒すだろうか。まだ続く復興に痛み入る。
2021/01/06
百太
今年も3月がやって来ました。4度目の3.11を前に震災を題材にした本を読んできました。このフランス人が描いた「波」は、読むのが苦しい。それだけ ちゃんと津波の情景、被災地の様子が描かれています。
2015/03/02
魂の叫び
これは年末に読みました。東日本大震災のメディアには出ていない本当の意味での当時の状況が描かれています。これも繰り返して読んでいる本の1つなのですが、ズーンと心に響きます。読む度に頭の中の映像が細かくなります… でも何度でも読みたいし、これからも繰り返し読む小説です。最近は全国ネットのニュースで東日本大震災関連は見かけません。悲しい現実です…
2015/01/03
kiho
フィクションであり、どちらかというと冷静な語り…というイメージを纏っているので、「震災」をテーマにした作品としては賛否があるかもしれない☆それでも、手にとった本の重みの中には、そこにいなければ知りえなかった震災の状況が詳細に描かれている。蒼佑のような高校生が、まさにいたのだということを伝えてくれる作品…津波を忘れないため、この先にこそ存在意義を持つ小説かも…。
2013/04/14
じゅん
大震災という状況で残念ですが、自分の地元の地名がこれほど散りばめられている小説を読んだのは初めてです。しかもこれが仏人が書いたものだから凄い。無残な被災地と東京とのギャップや被災地内での社会的亀裂も大きな問題ですね。地元高校生の「蒼佑のノート」では悲惨な描写、その遠縁の東京から駆けつけた「瑛太の語り」では立て直すべき今後が書かれており、瑛太の父三蔵の存在がこの物語に良い味付けをしていると思います。複数の街の出来事を無理矢理気仙沼に集めたため、違和感も多少ありましたが、年寄りが語る気仙沼弁は秀逸でした。
2013/01/13
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