拝啓 彼方からあなたへ
拝啓 彼方からあなたへ / 感想・レビュー
優愛
「上手くいかないことばかりで、このままじゃ駄目だと焦って、自分を変えたくて、優しいものを傷つけたかった。自分が優れていると思うために」心の片隅に、私はもう少しだけ生きていたいのかもしれない──ありがとう。さようなら。心に染みを残していったのも淋しさを拭ってくれたのも思えば全て手紙だった。言葉に込められた思いが映す残像は今にも消えてしまいそうな危うさを纏って自身の消息を伝えようと私を、最後に選んでくれたのです。あやめの薫る空気が今宵また誰かの心を満たすことを願って開店する「お便り庵」私もいつか足を運びたい。
2015/06/23
hiro
谷さんの本は『思い出のとき修理します』の1・2に続いて3冊目。谷さん初の単行本ということで、期待して読むことにした。確かに途中のハートフルな話は谷さんらしくて良かったし、みなさんのレビューも好意的だが、ミステリーの出来としては、登場人物が少ないなかで犯人を当てるのも難しくなく、もう一捻りも、二捻りも必要だと思う。また、読んでいてこんなにイライラする主人公も久しぶりだった。さて気を取り直して、次は『思い出のとき修理します3』を読みます。
2015/01/16
ちはや@灯れ松明の火
もう逢えない、声を聴くこともメールを打つこともできなくなったあなたへと伝えたい想いがある。口からこぼれ出ることばは目に見えず、すぐに溶けて消えてしまうから、指先で文字に変えて綴って。あなたを傷つけたこと、傷つけられたこと、かすかに残る痛みはいっしょに過ごした時間の破片。吐き出した後悔、遅すぎた理解、どんなに近くにいても重ならなかった気持ち。あなたは今、どこにいますか。二度と逢えない彼方だと解っていても。今、どうしていますか。安らかに過ごしていると祈って。あやめの花に託す手紙が、あなたへと届きますように。
2015/07/12
七色一味
最初は『おたより庵』を舞台にしたしっとりと展開するオトナの女性の物語かと。と言うか、連作短編集かと思っていた。まさかこういう展開になるとは!しっとりとした文章ながら、びっくりなサスペンスでした。作者の別の作品とは趣が異なっていて、結構オススメです。
2015/07/27
みかん🍊
手紙が大好きで「おたより庵」というお店を経営する詩織の好きな事をしてのんびん暮すほのぼのとした物語がと思ったら、意外とハードなミステリー、中学時代の親友から「自分が死んだらこの手紙を投函してほしい」と預かっていた手紙、その親友が自殺した事を知り、手紙を開く所から次第に彼女の事件に巻き込まれていく、今はメールやSNSで気軽に連絡でき手紙を書くという事があまりなくなっているが、相手を思って便箋を選び言葉を選ぶという行為は思いが伝わる、悪意や一方通行の手紙もあるがやはり手紙を書くという事は素敵だ。
2017/01/15
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