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リトル ターン

リトル ターン

リトル ターン

作家
ブルック ニューマン
リサ ダークス
五木寛之
出版社
集英社
発売日
2001-11-08
ISBN
9784087812565
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リトル ターン / 感想・レビュー

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やすらぎ

この本は私の宝物。冒頭からグングン引き込まれる。…何かがおかしい。羽も翼も脚も尻尾もあるのに飛べなくなってしまった。誰よりも得意だったことが、出来なくなってしまった。なぜ君は飛ばないのか聞かれても分からない。今は飛べないという事実しかない。…孤独の旅が始まった。私が悪いのか。何をしたのか。もう空から見下ろせないのか。…星はいう。あなたは鳥であることには変わりはない。…そう、今も私は鳥なのだ。空からは見えなかった大切なものが今は見える。考えることで、非常にゆっくりだが成長し、置き去りにされた翼が戻ってくる。

2021/06/26

夢追人009

五木寛之さんが「かもめのジョナサン」に続いて翻訳を手掛けられた2冊目の鳥の絵本物語リトルターンは日本語ではコアジサシですね。まあ中々に内容的には思索的で小難しい感じがありますが、リサ・ダークスさんの美しい絵をシンプルに愛でて存分に楽しんで理屈など深く考えないという手もありますね。ある日突然に飛べなくなったコアジサシが夜空の星や親友になるゴースト・クラブ(幽霊ガニ)や一匹の蝶らと出会う中で人生の真実を教わる事で賢くなって再び大空に飛び立つまでが描かれていますね。影に気づいて本質を知る誠に奥深い真理ですよね。

2020/03/31

greenish 🌿

突然飛べなくなった一羽のリトルターン(コアジサシ)がたどる一風変わった挫折と再生への旅  ---なんて素敵な装丁、なんて素敵な挿画。まるでリサ・ダークスの個展を鑑賞したよう。翻訳は『かもめのジョナサン』の訳も手がけた五木寛之氏。 長い人生の中には、突然飛べなくなるような苦境はやってくるけれど、《内なるものを見つめ、気づかなかったことに気づくこと》《物事の本質や存在価値に目を向けること》そんなことが大事だと、この美しい物語は教えてくれる。リトルターンとゴーストクラブ(ゆうれいガニ)の必然の出逢いも素敵です。

2014/06/22

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

〈飛べなくなった鳥〉が主人公の挫折と再生の物語。コンパクトで美しい本です。五木寛之さんが翻訳を手がけたことで、1970年刊行の『かもめのジョナサン』と比較されることも多いと思います。五木さん自身も「ジョナサンが20世紀らしい上昇志向の話だったのに対し、本書は挫折者・引きこもりの物語」と書いています。また〈ジョナサン〉が観念的な「左脳で読む本」なのに対し、〈リトルターン〉は直感的で詩的な「右脳の物語」とも。飛んでいる時は意識したことがなかった自分の影。〈なんでもないもの〉を慈しむ時間が時には必要なのかも。

2014/11/21

モリー

ある日を境に空を飛べなくなった鳥(コアジサシ)が語る奇妙な回想録です。羽が折れたのでも、身体のどこかに不調を抱えている訳でもありません。見た目は仲間の鳥たちと違いないのです。飛べるのに飛べない鳥…飛ばない鳥…いや、飛ぶことに意味を見いだせなくなった鳥とは、挫折して引きこもる人の比喩に違いありません。人にも羽を休める時間、足元を見つめる時間、一人になる時間、真の友を見出して自分のことを語る時間…立ち止まって静かな空間に身を置く時間が必要なのかもしれません。鳥は「着地したときにだけ」自分の影に気づくのです。

2021/12/30

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