妄想気分
妄想気分 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
早稲田時代の共同生活の思い出や、愛犬ラブのこと、はたまた愛する阪神タイガースにまつわるエピソードなどを綴った軽やかなエッセイ。また、「岡山の田舎に住む、何の取り柄もない平凡な女の子」が、押しも押されもしない作家になっていく過程が、いわば順不同に描かれてもいる。このエッセイによれば、彼女の小説作法は終りも見えないままに、とにかく書いて行くことで形をとってくるもののようだ。漱石も『三四郎』について似たようなことを述べていたが、小説を書くという鋭意とは概ねそうしたものなのだろう。
2013/08/05
あんこ
ようやく手に入れられたこちら。小川さんの他のエッセイで目にした話もありましたが、終始穏やかな気持ちで読めました。創作をめぐるエッセイということですが、小川さんのエッセイを読んでいると、日常の中に如何に物語の断片が潜んでいるのかということに気付かされます。また、このエッセイ集は各章のはじめにある写真と短い文章も印象的でした。
2014/08/22
kyokyokyo3201
小川さんの感性がよく感じられた。時に繊細で時に大胆。中には私の心の中にある感情に小川さんが言葉を当てはめてくれたのではと思うほどぴったりくる章もあり、非常に気持ちよく楽しく読み進めることができた。
2016/01/27
AKIKO-WILL
タイトルが妄想気分だけどエッセイにしてはそこまでユーモアはないけど、小川洋子さんの日常生活を垣間見た感じがして良かったです!
2014/12/28
美登利
小川さんは、小説とエッセイでの受ける印象がいつも違うように思えてしまいます。幼い頃から、本好きで物語をかいていた、というのはよく他の作家さんでも聞く話ですが。心配性で、割と内気な感じがして、よく迷う人なんですよね。それなのに、小説だと力強さや底に秘めた意地悪さのある物語を書いてるような。全部を読んだことがないので決めつけられませんけど、普段の小川さんは、とても慎み深く考え込み、メカ音痴で、こちらが守ってあげなくてはと思わせてしまう、そんな少女のままの小川さんです。
2014/06/29
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