メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年
メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年 / 感想・レビュー
ばんだねいっぺい
本当は、「なぜ?」は一回でいいのかもしれない。でも古屋さんには古屋さんなりのやり方がある。それを簡単には否定できないし。あなたならどうする?という問題でもある。ヨーロッパでは、比べないというが荒木さんの存在を置くことで見えるような気がすることもある。
2017/09/17
ケニオミ
被写体として自殺した妻の写真集を発表し続ける写真家古屋誠一。古屋氏の異常な執着に引き込まれた同業の写真家(小林紀晴氏)による精神分析ともいえる評伝です。精神的に妻を追い詰め、精神的に壊れていくその妻の写真を撮り続ける古屋氏。彼女が自殺した際にはカメラを敢えて取りに行き、フィルムにその情景を収めたという古屋氏。彼のこの行動には、写真家としてこの瞬間を待っていたと思わせるものがあり、違和感を通り超え、嫌悪感を覚えました。「事実は小説より奇なり」とはよく言われますが、まさしくそれを地でいったような内容でした。
2014/01/16
anna
変態とアートは紙一重。ノンフィクションだけどとっても読みやすかったです
2018/01/12
Holger
精神を病んでいる妻が部屋を出て行ったことに気づき、咄嗟に階段を駆け上がり屋上へ向かう古屋。その途中、鈍い音を階下に聞く。九階の通路の窓から地上に横たわる妻を確認し、すぐさま部屋に戻る。カメラを持ち出すためだ。通路に並んだ靴、妻の亡骸をカメラで撮る。古屋は、自分との生活の中で精神を病んでいく妻を撮り続けた。その締めくくりが妻の死だった。彼を駆り立てたものは、写真家の業とも言える「呪われた目」だった。残酷なものは美しい。妻の写真により、古屋は名声を得た。しかし、その代償は大きく、その死は今も彼を縛り続ける。
2013/08/31
Mandragoremi
★★★ 美しいのに、醜い。 穏やかなのに、息苦しい。 あたたかいのに、寒々しい。 彼の写真を観る度に、そんな相反する感覚に囚われ、 目が離せなくなる。 なぜ、彼は自殺した妻の写真集を繰り返し編みなおし、 その記憶を執拗に掘り起こし続けるのか。 その答えと、その結果彼が辿り着いた境地は 当然と言えば、当然のものなのだけれど、 人が人と生活を営むということの、核心を突いているようで、 戦慄すると同時に、力が抜ける思いがした。 写真論としても秀逸。
2014/07/08
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