心
心 / 感想・レビュー
優希
漱石の『こころ』をベースにした作品は喪失と再生の色彩で染まっていました。親友を失った直広青年と姜尚中先生が出会い、メールにて色々話をしていきますが、そこには生きる意味と胸に抱えた哀しみが見えました。人として生まれ、死んでいくことがどういうことなのかを問いかけているように感じます。姜先生自信が生死と向き合い、自分の想いを今の時代を生きる青年たちの苦難を見つめた作品と言ってもいいと思います。愛する息子を失ったからこそ先生の眼差しが誠実さに満ちているのでしょう。重い作品であり、生死について考えさせられます。
2015/12/31
それいゆ
これまでにも東日本大震災を題材にして書かれた小説を何作か読んだことがありますが、どの小説も震災を軽く扱っており、被災者の皆さんに失礼きわまりない内容ばかりでした。初めて真摯に震災に向き合った作品に出会うことができ満足しています。私は、人生とは何か?とか、生きるとは?というようなことを人と議論することは好きではありません。何を哲学的に御託並べて悦にいっているのか!という気持ちが先にきてしまい、難しくこねくり回すことが嫌いです。でも、姜先生の言葉には素直な気持ちにさせられ、スッと心にしみ込んできました。
2013/05/20
itica
人は何のために生まれてくるのか。親友の死をきっかけに、青年は繰り返し生きることの意味を問う。やがて震災後に青年自らが取った行動の中で、おぼろ気ながらその答えを出してゆく。青年(大学生)と姜先生のメールのやり取りで物語は進行するが、現在の若者たちへ向けられた姜先生の言葉が心に深く入ってくる。「死」から「生」を考える一冊。
2013/06/25
ゆにこ
読後に息子さんが亡くなったことを知りました。生と死について悩み成長していく青年を通して、生きる事の素晴らしさを教えてくれました。
2015/06/23
りえぴん
あらすじを知らずに読んだため、最初小説なのかノンフィクションなのか分からなかった。 著者の名前がでてくるので、実際のやり取りだったのかな?と・・・ 重いテーマの割に、メールでのやり取りのせいか柔らかいタッチなので、感動できるところとできないところの差があったかな。
2013/08/24
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