渡辺淳一 恋愛小説セレクション 2 阿寒に果つ (渡辺淳一恋愛小説セレクション 2)
渡辺淳一 恋愛小説セレクション 2 阿寒に果つ (渡辺淳一恋愛小説セレクション 2) / 感想・レビュー
KJ
渡辺淳一初期の作品。主人公の純子の自殺から彼女にま交わる男から多面的に彼女の像が浮かび上がる。ほとんど実話に近い話。このシリーズ、最後の解説、著者のコメントが、本に深みを与えてる。
2016/08/08
咲
「死に顔の最も美しい死に方はなんであろうか」「生きていた時より美しく、華麗に死ぬ方法はただ一つ、あの死に方しかない。あの澄んで冷え冷えとした死」白一色の静寂の峠に赤色を塗りつけた、時任純子の驕慢で僭越な死。彼女は神話を演出した。まわりの男たちもまたその神話に酔い、楽しんだのだった。鎮静睡眠剤アドルム。基剤はエチルヘキサビタール・カルシウム。白い錠剤に爪で溝をつけたようなそれに魅せられてしまう感受性を、芸術と呼ぶのだろうか。北西に白く雌阿寒岳が見えるこの町で、この冬に、時任純子を読めて嬉しい。
2022/01/29
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