開高健のパリ
ジャンル
開高健のパリ / 感想・レビュー
mint☆
開高健さん実は初読み。表紙が素敵で夫の本棚より拝借。1961年の「現代美術15ユトリロ」収録の文章とユトリロの絵に、パリにふれたエッセイと写真を加え再編集したものだそう。開高健のユトリロ美術論でもありパリ滞在記、パリ理論?のようなものでもある。面白い部分もあったが、普段読み慣れないせいかよくわからない部分も。ユトリロの絵を眺めたり角田光代さんの解説を読んでそういうことなのかと納得したり。有名な著作もたくさんあるので機会があれば読んでみたい。
2020/05/28
アキ
「若き日に旅をせずば、老いての日に何をか語る」30代の開高健の書いたパリにまつわる散文の文章力と教養に圧倒される。ユトリロの絵に開高のコメントも独創的。カルチェラタンのキャフェやノートルダム寺院の重厚な姿、モンマルトルの丘の建物の白い壁とラパン・アジール。大江健三郎と共にサルトルに邂逅した1961年のパリの緊迫した空気が「声の狩人・ごぞんじのようにパリには」で感じられる。
2019/10/29
けぴ
開高健のパリにまつわるエッセイと開高健がユトリロの絵を解説した文章が不思議な味わいで掲載された一冊。ユトリロの作品は1910年頃の白の時代。久しぶりに見ましたが、孤独感と静謐感があり独特の良さがありました。パリの街並みも現在はすっかり変わっているのでしょうね。開高健がパリを訪問したのも1960年。アルジェリアがフランスから独立しようとしていた頃のようです。ある種の熱気を感じました。巻頭の角田光代さんの解説文も旅好きな角田さんらしくこの本を見事に引き立てていた。
2021/06/27
ちゃとら
【図書館本】偶然見つけた本。若い頃の開高健のパリ暮らしの本。ユトリロの絵が印象的。デモ隊に参加して警察に追われ、男女問わず殴られている中で、逃げた日本人3人組は、その足でカフェに入りラムを飲んだと。ノスタルジックになるエッセイだった。
2024/11/17
DEE
ユトリロの絵と開高自身の解説を散りばめながら、開高健が憧れ、そして何度も足を運んだパリの風景を生き生きと描写した文章たち。彼の作品に旅と食と酒はなくてはならない。そしてパリにはその全てがあったのだろう。 自分はパリには行ったことがないので想像するしかないのだけど、これらの文章を読むと、今とはまた違った美しさと猥雑さが入り混じった魅力的な場所だったことが伝わってくる。この絵も自分の好みでもある。
2019/09/28
感想・レビューをもっと見る