それでも生きていく 不安社会を読み解く知のことば
それでも生きていく 不安社会を読み解く知のことば / 感想・レビュー
hiace9000
東日本大震災から今回のパンデミック。この10年間で劣化した国民の暮らし、それを立て直すための起爆剤にと一縷の希望を託した東京五輪がコロナ禍により、よもやの大空振り。客観的納得解すら見出しにくい昨今の世相を、大所高所ではない極めて現実的な市井の目線から鮮やかに斬り、その切り口が描く世のありさまや、向かう未来を静かに説き、語る。筆者は批判と嘆きに終始せず、等身大の思索から新たな可能性を探る。教育、ジェンダーという生活分野から、人々の意識は確実に変化しつつある。本コラムの発表媒体が女性誌であった意味は大きい。
2022/10/11
まゆまゆ
震災後のエッセイをまとめた内容。これまでの戦後日本の美徳を支えてきた価値観が、政権交代によって新しい美徳の登場に期待に満ちていたところ、震災と原発事故や政権への落胆によってむしろ前時代的な美徳へと逆戻りしている。これを保守と言えるのか。生産性などある種の線引によって国民の分断を平気で語る人々にこの国の行方を任せられない。再びあの政権交代を実現するために一人ひとり考えて行動すべき、と。
2022/04/11
たっきー
4月中旬に読了していたが、登録していなかった。メモしていた言葉。・命はパーソナルなものなのに社会的なコスト優先で語られる。日本経済に余裕がなくなり弱者切り捨て、だから生きづらい。どんな人も生まれてきて存在していること、それ自体に尊厳性がある。・日本ではある価値を国家が場当たり的に決めてそれを伝統的とする、・どんどん声を上げていくこと、そこからしか民主主義の活力は出てこない、・(重く受け止めたひめゆり平和堂記念館の話から)人生の目的は幸福になることと思い込んでいるが生きるのに苦痛や苦悩は不可避。→
2022/04/30
ありんこ
今幸せでも、悲しい出来事は均等に訪れる。苦しみも意味あることとして受け入れること。
2022/08/25
☆やす
震災後から2021年年末までのエッセイまとめ。個々人の生活における変化の大きい時代をどのように乗り越えてくか、著者がどうとらえているのかを記す。聡明さに感心。世の事象についてより正確にとらえ、自分流の考えを持てるようになりたい。ただただ漫然と新聞を読んでてもこうなれないよなー。
2022/05/23
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