イノサン Rouge ルージュ 12 (ヤングジャンプコミックス)
イノサン Rouge ルージュ 12 (ヤングジャンプコミックス) / 感想・レビュー
眠る山猫屋
シリーズ後半はマリー・ジョゼフが主役だったな。そしてフランス歴史絵巻から最後はマリーの生きざまの物語に還元された。次第に狂っていく革命の牙がマリーの“叛骨”に向けられるとは。ロベスピエールの革命が女性思想家たちをも処刑していた事は知らなかった。そして最期はファンタジー。ちょっと物足りなさもあったが、この処刑人の一族を描くにはこの終り方は良かったのかもしれない。理解が及ばないほどの叛骨の人・マリー・ジョゼフの圧倒的な生き様。
2020/12/15
ぐうぐう
最終巻にふさわしく、表紙の色は朱に染まっている。革命のパリが、そうだったように。学園漫画を模した場面、女子高生の生首が掲げられるのは、『デビルマン』クライマックスでの美樹を意図してのことだ。集団心理における魔女狩りの恐怖を描いた名場面だが、そこにフランス革命を重ねた作者も、まさか2020年3月、新型ウイルスによる感染症に慄く世界の姿をも活写することになろうとは思いもしなかっただろう。行き過ぎた善意は容易に悪となり、恐怖が世界を席巻する。これはいつの時代の話か。歴史は繰り返す。(つづく)
2020/03/05
たまきら
ロベスピエールを中心としたReign of Terror(恐怖政治)下の処刑人の日々は血に倦むルーティンと化し、平等とは?とう問いかけと、無邪気で残酷なゼロの言葉に、作家の描きたい世界を感じました。力技でしたね!反発した時があっても深いところで結ばれたプッツン兄妹。これからも時々読み返したいシリーズです。
2020/06/23
辺辺
完結編。最後の表紙からして真っ赤に染まったのが印象的。アントワネットを処刑、ここでまた学園風で描くとは斬新だな。しかし、我が道を行くマリーに恐怖を覚えるロベスピエールによって、マリーにも処刑命令が出され、シャルルの機転によって、イギリスへと逃げ果せ。シャルルの夢はいつの日か死刑のない世の中を作ること、マリーの夢は貴族鏖。二人の夢は時を超え、今叶えられた。血に塗れつつも希望を捨てないサンソン兄妹そのものがまさに無垢=イノサンだ。グロテスクで血生臭絵と繊細で美しい絵の対比、ハマったら抜け出せない引力あるね。
2020/05/25
りー
死刑執行人一族を描いた物語、ついに完結。最後の最後まで人間が自らの内に抱える残虐さを突きつける内容でした。生きているうちには叶わなかったその想い。グロテスクで華麗な絵から圧倒的なイメージが容赦なく襲ってくる。まさかロベスピエールの最期まで描いてくれるとは思わなかった。描ききった作者に拍手を。
2020/03/01
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