日本短編漫画傑作集 (1)
日本短編漫画傑作集 (1) / 感想・レビュー
ぐうぐう
『日本短編漫画傑作集』少年青年漫画編の第1巻は、1959年から1967年に発表された作品が収録されている。手塚治虫の傑作短編「落盤」から幕を開ける。選者の山上たつひこ曰く、大人の手塚を初めて感じた作品。ストーリーの面白さと同時に回想が繰り返される毎に画のタッチが変わるのが手塚の実験精神を如実に表している。松本正彦の「どくろに頼む」は確かに「猿の手」の模倣だが何より異様な線の磁場に否応なしに引き摺り込まれる。パーフェクトな画力がグロテスクな物語を昇華させる平田弘史「人肉献上」、(つづく)
2021/06/29
阿部義彦
1959年から1967年までの作品を収録。若い頃のさいとう・たかをや青柳裕介などは絵柄もまだ発展途上ですがそれはそれでいい味があり興味深かったです。白土三平は時代物でなくてもとにかく絵が達者です。手塚治虫の「落盤」を選ぶセンスが素晴らしいです。手塚、石ノ森の2人を除くと殆どの作画が今で言う「劇画」タッチなのも時代を感じさせます。その中でも矢張りつげさんは突出しています。巻末の山上たつひこさんによる解説が何よりも読み応えがありました。
2021/11/13
mittsko
漫画をほぼ読まないため、どう評していいか分からないのだが、大変面白かった…(=゚ω゚)ノ 一気読み! 一番好きなのは、つげ義春「海辺の叙景」です ※ 所収の作品10編は、1959~67年の公刊。当時の作者は22~30歳。恥ずかしながら、お名前を存じ上げなかった方もおり、漫画史の厚みにあらためておどろく。10編いずれもがスリラー(山上たつひこ「解説」では「ミステリ」と呼ばれる)なのは、偶然? 時代をよく反映しているらしいが、まさか、当時の傑作短編が「ミステリ」のみだった、ってことはないはずだし…
2021/08/02
ムーミン2号
この巻では1960年代の短編が10本選ばれている。巻頭は手塚治虫さんの『落盤』、解説は山上たつひこ氏。漫画は世相を反映するのか、1960年代という雰囲気が横溢しているように感じた。また、各作品についての言及は6行程度と短いが、山上氏の鋭い解説は、一読、各作品を再読させられるほどのものだ。選者6人がすべて男性ということで物議を醸したアンソロジーだが、女性作家の作品がないというわけではない(この巻にはないけど)。ただ、本叢書の副題は「少年青年漫画編」となっている。いずれ「少女漫画編」も編まれるのかな?
2021/07/22
コリエル
平田弘史は80を越えた今なお圧倒的な画力を誇るが、24才時点の読み切りでこの絵はホントすげえよ。人肉献上というセンセーショナルなタイトルと内容も良し。次点は白土三平の『戦争』かな。高度経済成長期の作品ではあるが、今よりも日本人にとって強く身近だった戦争が感じられる。
2021/09/19
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