日本短編漫画傑作集 (4)
日本短編漫画傑作集 (4) / 感想・レビュー
ぐうぐう
第4巻は、1975年からの5年間に発表された短編を収録。いわゆる、ニューウェーブの時代だ。冒頭の「らんぷの下」から読ませる。画の魅力だけではなく、一ノ関圭が紡ぎ出すドラマに魅せられ引き摺り込まれる。これが25歳の時の作品だと言うのだから恐れ入る。高橋葉介の「ミルクがねじを回す時」は、さらに若い22歳の作品。ナンセンスな展開も突き詰めれば感動を呼ぶことをこの作品は教えてくれる。藤子・F・不二雄からは「宇宙船製造法」が選ばれている。(つづく)
2021/07/31
阿部義彦
全6巻のこのシリーズ、全部揃えてしまいました。最後に手に入れたのは1975年から79年までの作品が収められた第四巻です。ますむらひろし、高橋葉介、そして何よりさべあのまが出色です。解説が村上知彦さんであの伝説の季刊誌「漫金超」を創った方です。その辺の事も詳しく触れられています。所謂漫画ニューウェーブの先駆けとなった雑誌です。私的には他にも奥平イラや吾妻ひでおなんかも入れて欲しかったですね。あとナベゾとか。どうやらこの企画の発端はサブカル季刊誌「フリースタイル」48号の「短編漫画の秘かな愉しみ」のようです。
2021/12/25
ムーミン2号
1975年から80年に発表された11編が収められている。ワタシにはこれまでの3巻より読み易い巻だった。かつて、「ガロ」や「COM」などで発表された実験的なマンガによる表現は後退し、多くの読者に読まれることを前提とした表現、ストーリー展開になっているように感じた。どの段階で、何をきっかけにこういう変化が生じたのか? との疑問は出てくるが、明確な画期は示されていない。あるいは、徐々にそうなっていっただけかもしれない。ずっと読みたかった「アタゴオル物語」の一編が入っていたのが嬉しかった巻。
2021/08/21
コリエル
まあ高橋葉介『ミルクがねじを回す時』を白眉としたいところだが、これはすでに何回も読み返しているので新鮮さもあってはるき悦巳『力道山がやって来た』を推すか。じゃりン子チエと同じく下町の猥雑さと逞しく暮らす少年の姿が活写されるが、米兵に力道山と、戦後の影がチラつくところがまた別の情緒を搔き立てる名作。
2021/11/21
mittsko
ボクが漫画を一番よく読んでいた時代の作品群。それゆえなのか、それにもかかわらずなのか、第3巻までの衝撃、異物感がほぼなく、やや物足りなかった。端正で上手、絵も物語もしっかり出来上がった上等な作品だらけ、という読後感。とくに好きなのは、圧倒的に、はるき悦巳「力道山がやって来た」。ホントに素晴らしい…! 高橋葉介「ミルクがねじを回すとき」も好い。 ※ 1975~80年初出の11本。79年のものだけで7本。 ※ 当時の作者らは22~27歳が8名。32歳と33歳、そして藤子・F・不二雄先生だけが45歳と年長。
2021/08/11
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