ZERO (上) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
ZERO (上) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL) / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
松本大洋氏初期の傑作。ミドル級の世界王者に10年間君臨する五島雅。無敗、それも一度としてダウンさえしたことがないため〈ゼロ〉の異名を持つ孤高のチャンピオン。静謐なトーンから時おりのぞく狂気の気配。スポーツを描いた物語は数多いけど、ボクシングは小説よりもマンガに名作と呼ばれる作品が多いジャンルだと思います。『あしたのジョー』『はじめの一歩』『がんばれ元気』『リングにかけろ』……。どの作品にも不可欠な存在だった〈ライバル〉が本作には一切登場しません。それゆえに、ストイックなボクサーの孤独が際立っている異色作。
2015/04/05
ホークス
再読。ミドル級の世界チャンプを10年続ける五島雅は、無敗=ゼロと呼ばれる。強すぎる五島の切実な望みは「壊れないおもちゃが欲しい」という事。リングの上でしか生きられず、親族も友人も無く、理解者は彼を育て上げたコーチの荒木だけ。年齢的な衰えを指摘される中、上巻では、同じジムで五島を尊敬する若手が挑戦者となる。本作のテーマは狂気や異常者ではない。ライバル、記者、ファン、ジムの人々の人間くさい姿が描かれ、狂気は誰の中にもあり、五島は少しだけバランスが違うだけと知らされる。松本大洋のスピード感溢れる表現にも痺れる。
2024/04/02
sibasiba
松本大洋初期作品。こういう描き方か。凄まじい強さのボクサーの物語。センスの奔流、後年の整理されたわかり易さは皆無。トンデモなく面白い。
2015/07/23
kanon
強すぎて孤独になったボクサーの話。戦って負けた相手がどんどん引退していくのだけれど、自信を完全に失ったから、とかではなくて、試合の途中で何か自分の人生で大切なことを見つけたから引退する、という印象を受けた。前向きな引退というか。いやまあ、他の選手の引退シーン見てないからそれだけではないと思うけど…少なからず、他人の人生に影響を与えることが出来る人間なのだと。それは純粋に凄いことである。一話目の巻頭カラーからセンス抜群の見開き。
2018/01/06
shimojik
新井英樹のボクシング漫画はこれが元ネタだったのか。自己目的化の高みにある永劫性への到達を願う男の話。
2013/08/18
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