記憶の技法〔小学館文庫〕 (小学館文庫 よE 19)
記憶の技法〔小学館文庫〕 (小学館文庫 よE 19) / 感想・レビュー
天の川
修学旅行のパスポート取得がきっかけで親子関係を疑う女子高生という始まりはありがちだけれど、自分探しの旅の過程で明らかになる真実が怖い。彼女の旅に付き合った彼の「俺を悪い記憶の引き金のように扱わないでくれ」という悲痛な一言。次の『霜柱の森』で、彼の抱える記憶の重さがわかっていく。その後の短編、『女子高生殺人日記』『粉ミルク』『透明人間の失踪』は短い分だけ、余計に怖かった…最後の『恋愛家族』で一息つけた気分でした。
2016/10/17
白玉あずき
端麗な絵柄にぞっとする心理描写。短編小説なら暗く不快になる所を、少女マンガタッチな絵で救われる好みの作風。否認、抑圧、脅迫防衛、転移・・・・心理療法のテキストになりそう。好きだわ。
2017/03/15
kochi
ヒロインの鹿角華蓮(かづのかれん)は修学旅行の為に戸籍を入手したところ、おかしな点に気づき、同級生の怜(さとい)と共に修学旅行をサボって九州の生まれた町ヘ。そこで、彼女がたどり着いたものは自身の出生に関わる悲しい出来事… 2016年4月に亡くなった著者の短編集。「本の雑誌」のさらさらっと書いたような本絡みのエッセイ風漫画しか知らなかったので、ぶーけ風のキラキラキャラとドロドロストーリーは新鮮。キラキラネームって、たぶん、漫画が影響しているのか?
2016/11/23
還暦院erk
蔵書再読。表題作は「フーガの技法」を連想したが内容はヘビー。戸籍係の女性の凝視、金魚店の「石田さん」の老け顔など、絵が「語る」部分が多いなぁと再認識。p175の弟の手、p178の走る「年下の姉」が切ない。『透明人間の失踪』、中身も怖いが扉絵も怖い!ドラマ化して欲しいなぁ。
2020/08/13
小梅さん。
吉野朔実さんの世界を堪能。 美しくて残酷で、どこか現実離れした空気が好き。
2016/12/26
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