カムイ伝 (1) (小学館文庫 しB 1)
カムイ伝 (1) (小学館文庫 しB 1) / 感想・レビュー
ぶち
(再読) 再読といっても30年振り。最初に読んだのは小中学生の頃です。30年振りに読んでみて、厳しい身分制度に縛られた封建社会における過酷な搾取の時代をどうにかして生き抜いてゆこうという下層の人々の生き様が、小中学生の頃に感じたよりも数倍も心を打ちます。 漫画の代表的な古典名作だと認識をあらたにしました。 第一作では主人公のカムイの登場は少ないのですが、最下層の非人であっても超然としていて、幼い頃からヒーローの風格を備えていたことが分かり、今後どう活躍していくのか、おおいに期待します。
2024/08/06
いちろ(1969aMAN改め)
父の友人が下さった、文庫版全集が実家にある。ははーん、忍者漫画だね、読むもの切らしたし、ちょっと。手に取ってビックリ。江戸の庶民、しかも非人といわれる百姓以下の人間たちを主人公に物語は進む。カムイはむしろ象徴的な、あるいは何かなのか。今6巻を読んでいる。まだまだ先があり、日に一冊ずつ進む感じ。なんとなく差別はいかん!程度で育ってきた自分には強烈すぎ、学ぶものが多い。大変な読み物に出会ってしまった感がある。
2014/10/24
白義
正直、古い大河漫画ということで今から読むとそこまででも、と最初は思っていたが、オオカミたちを通して描かれる、流転するサイクルをそのまま写したかのような自然の広大さにしびれ一気読み。一コマ一コマに異常な情報量が詰め込まれた一種の全体漫画で、封建社会の過酷な差別体系もそのまま自然のうちに含まれ、それに立ち向かう人々の生命力がさらに輝きを増しているように思う。これでもこの後広がっていく群像劇の序章に過ぎないのだから、なるほど確かに大変な作品だ
2014/06/25
いずみんご
農民を支配するために作られた庄屋、百姓、下人、非人の身分制度。人に非ずと書くように、非人は犬並みの扱いであることや、犬を的にして流鏑馬の練習をする武士、白い狼の話など、もう胸が痛い描写ばかり。ふだん時代小説を読むことが多いけれど、こうした面は知らなかっただけに、物語の裏側を知るようで興味深かった。江戸はこうして成り立っていたんだなあ。差別が、当初は自分たちの身を守るために生まれたことも、白い狼のエピソードからも知りました。とはいえ、人間社会でそれを正当化してはいけないけれども。次巻に続く。
2022/01/24
猫丸
とにかく絵がうまい。オオカミの疾走、イタチが動きを止めた瞬間、横一文字に払った刀の軌跡。小さな文庫版で見ても美しい。物語は封建制安定期の地方藩で始まる。支配階級は悪の限りを尽くし、本百姓たちは上から支配され下人・非人を差別する状況。カムイは最下層身分から登場する。人間は自然を所与とみなし、支配者は下層民を所与とみなす世界。悪辣な顔で描かれる武士階級だが、彼らに悪であらんとする意識はないのだろう。社会変革の方向と可能性を探っていた1960年代の作品を再読することに。
2021/10/17
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