赤目 (小学館文庫 しB 81)
赤目 (小学館文庫 しB 81) / 感想・レビュー
カムイ
再読だろう。スッカリ忘れていた。白土三平氏は【カムイ伝】が好きで全作品を読破予定です。作者の一貫しているテーマがある、支配する者と支配される者が描かれている、そして人間の業を最悪なストーリーに仕立てている。今回は遠大な復讐劇に…
2021/09/20
ヨッフム
『カムイ伝』を読む前に予習として購入。構図の多彩さや、線の技術力。ひねたプロットや脚本なんか無くても、心を揺さぶるマンガは描けるという好例。妊婦の腹を興味本意に裂いたり、虐殺した農民を、その家族に処理させるなど、暴君の圧政を咎めるため、妻を殺された男が復讐に立ち上がる。その計画の意外性がとりわけ知的で面白く、ただの勧善懲悪ものは書かない、絶対にご都合主義は書かない、という作者の声が聞こえてくる。復讐が成功した後、狂気に支配される男を描くことで、物語の定型を脱し、強い訴求力を獲得して幕が閉じる。
2014/11/13
kujira
なんという遠大で気の遠くなるような計画なんだろうか。スーパーヒーローなんて都合良く現れないし、不条理はどうあってもなくならない、嫌になるほど正しい時代モノ。本懐を遂げた松造がラスト、気の狂った姿で出て来る所が、なんとも言えないやるせなさを感じさせる。復讐がなければ松造は生きては来れなかっただろうけれど、復讐を失った途端にこうも弱く脆くなってしまうものなんだな……
2011/07/10
更紗蝦
『銀牙 ―流れ星 銀―』に登場する赤目という犬が忍犬軍団の総帥だったので、白土三平の『赤目』の主人公も忍者軍団の総帥なのかな…?と思っていたのですが、全く違っていました。白土三平の漫画というと、人間VS人間の直接対決のイメージを持っていたのですが、その先入観は見事に崩れました。
2013/02/01
うさこ@うさぎ部
井上ひさし氏の『ブンとフン』に一瞬この物語が引用されることと、漫画にウサギが登場するという理由だけで読んでみたが、想像以上に重い内容に気持ちが暗くなったことは否めない。復讐を題材にしている物語を読む度に思うことだけれど、そのエネルギーをポジティブなことに使えたらどれほど素晴らしいか・・・。
2016/04/01
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