十三番目の子 (児童単行本)
十三番目の子 (児童単行本) / 感想・レビュー
mocha
余計なものが削ぎ落とされた、ファンタジーの根幹を見る思いがした。挿画も素晴らしい。扉からの十数ページは特にドラマティックで圧巻。鳥たちに導かれて一気に物語の世界へと入っていける。何度でも読み返したくなる傑作。
2016/10/21
chimako
「一人の女が産んだ十三番目に生まれた子を、十三回目の誕生日に、いけにえにささげよ。それと引き替えに、その日から十三年の繁栄が約束される」・・・暗黒神ドントとの契約。その日が近づいてくる。本当は十三番目の子だと知った兄の苦しみや母と離れいけにえを覚悟して育ったダーラの哀しみ、やがて気づいた母の自分自身の愛の深さ。そして再生。隣人たちの身勝手と欲。たくさんのメッセージが有るようでたったひとつを教えてくれるようでもある。ダーラとバーンに寄り添うリスは長老カイルか母の霊か。
2016/08/25
☆よいこ
島では、十三番目に生まれた子供を海の神に生贄として捧げなければならない。島の女は12人までしか子供を産まない、しかし12回目の出産で双子が生まれてしまう。13番目の子供として生まれてしまった少女ダーラの悲しみ。13歳の誕生日に海に投げ込まれて死ぬ運命の目の前に、双子の兄バーンが現れた。そして真実が明るみにでる。▽児童書。昔話のような物語。家族の物語、ちょっと暗い。
2019/03/30
帽子を編みます
悩ましい内容です。ケルト神話っぽい話ですが、まず13人子どもを産むところにひっかかかります、村の女たちは12人産んだところで山の魔女にお守りをもらって不妊になる、むむっ。今回は12人目が双子だったために悲劇となるのですが…。女が子を産むことでしか価値がなかった時代、男と女の価値の違い、親のちょっとした一言、でも本当はどの子も愛しているということ。身を挺して子を救う母の愛。他者に犠牲を要求した者たちへの制裁。双子はたどり着いた新天地でどのように過ごすのでしょう。絵物語でもあり絵の力も感じさせる一冊でした。
2024/07/21
星落秋風五丈原
戦時中でも珍しいと思うが、13人も子供を産んだら母親の体はぼろぼろだ。ましてや「産んだら、はい、終わり!」ではなく、13人それぞれの長い子育て期間がある。母親はそんな思いをして子供を産むのだから、恐ろしい予言があるのに、誰もわざわざ死なせるための生贄とわかっている子を生もうとしない。メブも13人目を生む母親になるつもりはなかった。ところが彼女が産んだのが男女の双子だったため、母親はどちらかを択ばなければならなくなる。生贄とは誰かを犠牲にして助かるシステム。当然後味は悪い。犠牲者を出す側に都合のいい。
2022/08/30
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