嫉妬の香り
嫉妬の香り / 感想・レビュー
匠
アロマテラピー、作曲家、東京とパリ、そして嫉妬。自分に身近なキーワードにつられて買ったのが14年前。当時中2だった僕は猛烈な嫉妬に苦しんでいたけど物語には全く共感できなかった。久々に再読してみても、登場人物達4人があまりに哀れで愚かで、やはり滑稽にしか映らなかった。平凡な暮らしが退屈で夫に嫉妬させたいがために、婚約者のいる男を利用する妻。本人同士で腹を割った話もせず、確かな裏も取らずに妄想だけで嫉妬し、自己防衛のために浮気をして堕落して壊れていく男女。愛の意味を履き違えてる限り、彼らはまた繰り返しそうだ。
2014/03/04
優希
壊れた感情を感じずにはいられませんでした。嫉妬は感情の制御を殺してしまうと思います。感じずに済めばいいのかもしれませんが、愛があることで生まれてしまうのは仕方ないことでしょう。浮気していないか不安だから、その不安を埋めるように浮気をする。それでいながら相手に嫉妬するという矛盾のような空気を綺麗にまとめあげているような気がします。もう少し人間臭さがあってもいいかもしれません。そんな中に漂う様々な香り。嫉妬という感情を香りとして表現しているのに引き込まれました。
2016/05/07
あつひめ
目隠しをして嗅覚だけで求めるような物語だった。香りは愛を演出する一つであることには違いないようだ。あなた次第・・・この言葉が人を試すような言葉に聞こえたのは私だけだろうか。自分の気持ちを伝えず「あなた次第よ・・・」と。とても狡いように感じた。人を愛するのは見返りを求めるものではない。なんて聖人君子的なことは笑われるだけか。香りは一瞬にして時を越えさせてくれる魔法の媚薬でもあるように感じた。独りよがりの恋の象徴のようだった。
2012/01/05
星落秋風五丈原
巨大なインテリジェントビル計画を任されている政野英二から考案したヒーリングミュージュックを使わせて欲しいと依頼された哲士。働く人々の気持ちを和らげるのに必要な五感の聴覚部門を受け持つことになった哲士はアロマテラピストの恋人、ミノリをこのプロジェクトに参加させようと英二に紹介するが、ミノリの態度が微妙に変化し、哲士は英二の妻早希から「私たちは裏切られている」と囁かれる。体に感じるまとわりつくような暑さのように、4人の男女の関係が描かれる。作「冷静と情熱のあいだ」より硬質な印象。装丁が本の内容にあっている。
2000/07/23
ブルームーン
嫉妬に狂った男性の愚行。とにかくドロドロ。読んでて苦しくなる。
2017/03/21
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