カラーひよことコーヒー豆
カラーひよことコーヒー豆 / 感想・レビュー
ひめありす@灯れ松明の火
『一日一冊の会』でちょっと噂になっておりまして、末席に連なる物としてはこれは読まなくてはなるまい、ということで読みました。小川洋子さんはこの間『最果てアーケード』を読んだだけなのですが……。粗末なスプレーを吹き付けられて、長生きできないことがわかっているカラーひよこ。年老いた犬の耳の中にあるコーヒー豆。生と死と、儚い物と生き延びた物と。他の誰かにはがらくたなのだろう。夜が明けた後に見る夏祭りの夜店は妙にしらけていて。ひよこは斑に染まって弱って。でも、その色は何より鮮やかに心に残って、今の私を形作っている。
2012/12/24
nyanco
もっと独特な雰囲気のエッセイを描かれると思ったら、あれれ?お洒落な『Domani』の連載だったんだ、納得。月に一度、こんな素敵なメッセージを大人の女性である小川さんから贈られたら素敵。とてもふんわりとした気持ちになれるエッセイ集。でも、これぞ小川さんでしょ、と感じたのは冒頭の『世界一孤独な人』と『ジュウシマツの芸術』これからタクシー無線とジュウシマツの鳴き声は、私の中で今までとは違ったものになることは確実。こうやって、世界を広げてもらうのは読書の楽しみのひとつ。
2009/12/19
ミナコ@灯れ松明の火
なんとなく心に抱えてはいたものの表すには適格な言葉が見つけられなかった気持ちを、こんなにも明確に、しかも美しい言葉で表現してくれる小川さん。通訳さんのことを「言葉の天使」と仰られていたけれど、言葉の神様に愛されたのは小川さんも同じこと。読んだだけで自分のガソリンが満タンになったような気分です。決して主役ではないそこかしこにあるものに対する敬意や愛情は、まるで何者にもなりきれないしがない自分へのエールのようで本当に励まされた。ずっと手元に置いておきたい一冊。
2011/09/13
ぶんこ
とても謙虚な人柄が伝わってきました。「黙々と労働する人」で、そこに気が付く小川さんに感嘆して、通訳の事を「言葉の天使」と表現する感性。 そして「結晶のような個性」の中で、五十嵐文男さんのファンとあって、嬉しくなってしまいました。、私も五十嵐さんの大ファンでしたから。 エッセイが、誰かの心に届いている。 自分の仕事は決して一方通行ではないのが幸せと言ってくれる作者。 素敵な本でした。
2014/05/27
Rosemary*
小川洋子さんのお人柄がよく出ていて、とても読みやすくて、共感するところ多い上、それでいてクスッと笑えるところや涙ぐむ場面もありたのしめました。愛犬のくだりでは、自分も似た経験がありついつい入り込んでしまった。
2014/05/06
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