虫喰仙次 (P+D BOOKS)
虫喰仙次 (P+D BOOKS) / 感想・レビュー
もだんたいむす
親の影は払えないのか。★★★☆☆
2016/02/16
まどの一哉
この短編連作の舞台である著者の実家は東京牛込であり、時代は1930年代である。当然親は兄弟が多く、家には兄弟以外の子も住んでいる。海軍勤めの父親や、あまり歳の違わない破滅型の伯父、観音信仰の祖母の話が記憶や調査をもとに綴られてゆく。様々な人間の生きざまが生々しく蘇って読まされてしまう。
2022/06/10
ゆかっぴ
いろんな作品のあちこちに色濃く影をおとす父親の存在が印象的でした。
2016/02/04
みや
親族・友人・知人のことや自身の少年時代のことなどを題材とした短編7本。エッセイの括りになろうが、明晰な言語感覚で独特な思考や人間関係の機微が記されるので、私小説のようでもある。しかし夢の話の冗長さには閉口した。僅かな失敗を重ねることで転落の人生を歩んだ叔父の話「遠景」、ギャンブラーの嗅覚により会社で出世したものの、やがて没落してしまった友人を描いた「虫喰仙次」、著者の少年時代の恐るべき習慣を顕にした「走る少年」がよかった。
2019/01/26
kj.star
7編からなる短編集。一人の人生の生きようを、競輪の勝ち負けの出色に捉えた表題作は、ギャンブルの神様ならではの視点で、経験に基づく深い考えおよび哲学が堪能できて面白かった。
2015/11/03
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