マリリン・モンロー・ノー・リターン (P+D BOOKS)
マリリン・モンロー・ノー・リターン (P+D BOOKS) / 感想・レビュー
かんらんしゃ🎡
男おいどんにモリミー4畳半の主、彼ら小心で妄想多き青少年だ。ここの主人公もモンローを恋人にと思いやまぬ。辛くなると手前勝手な妄想に耽る現実逃避のヘタレ野郎だ。昔の自分のようでコイツにはちっとも感情移入できん。少年よ書を捨て街に出よ、今この時にしか無茶はできんぞよと根性移入してやりてー。齢取れば分かる。モンローを夢見てた青春の日はもはやノーリターンである。
2024/07/31
みや
表題作始め5篇収録。芸能・看取り・原発などといった題材の多様さにまず舌を巻く。加えて意表をつく発想の豊かさと落語のような展開の小気味良さにも。読点で繋ぎまくる口述筆記そのままのような著者独特の文体が拍車をかける(ハマらないと苦痛だが…。)。内容のどぎつさが目立つが、目を背けたくなるような「本質」を見つめていなければ描き得ない世界。そこここに漂うペーソスにその眼差しの優しさを感じる。時代に左右されない不朽の作品群だ。
2019/02/07
クッシー
短編集。『戦争童話集』を読んでから、野坂さんに興味を持ち、購入。テーマが私小説的なもの、老人介護、原発建設、怪談など多岐にわたる。どれも、退廃的で、どこか狂気を秘めている。その狂気に自分が触れた時、それに呑み込まれそうになる。こうしたものを描けるのはやはり、野坂さんに青春時代の戦争体験があったからだろう。こうしたある種強烈な体験に裏付けされた小説に心打たれる。
2019/01/23
でろり~ん
4度目のお色直し版だそうで、おほほのほ。タイトルだけは知っていた本でしたが初読。解説者がトリック・スターという表現をしていますが、本当に野坂昭如という作家はとんでもないバリエーションをものしていったんですねえ。句点の少ない独自の文体は、リーダブルとか、んなもなあ関係ないねって感じでどんどん先に進んでいくわけで、あ、こりゃ、どうも恐れ入りやした。戦中派作家。全て初めて読む作品でしたが、今に通じる中身を感じさせてくれるものでした。小説が凛としていた頃でしょうか。今は女性作家の時代なんでしょうかね。時代の変遷。
2018/11/23
Yuichiro Nakatsuka
著者の個人史と重なって、自伝的作品にも映るが、ここまで人でなしではないだろうと思われるぐらいダメ人間を描いた表題作、50年前に老人介護問題 を扱った予見的な 『死の器』、落研の連中をまんま落語のように描いた『ああ軟派全落連』、 原発建設用地の漁村の歴史を遡って綴ったクロニクル 『乱離骨灰鬼胎草』、愛欲にまみれた怪奇幻想スリラー『砂絵呪縛後日怪談』、題材は様々ではあるが、そのどれもが業深き人々の悲喜劇を、独特の文体で表現しており、まさに野坂昭如の真骨頂、余人を待って代えがたい。
2023/04/20
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