天の歌: 小説 都はるみ (P+D BOOKS)
天の歌: 小説 都はるみ (P+D BOOKS) / 感想・レビュー
桜もち 太郎
中上健次が歌手・都はるみを描くことに興味があって購入。日本の高度成長期を歌い抜いき、1984年に引退した都はるみの歌手としての生き方を描いたもの。1984年の年末・紅白で司会の鈴木健司が無理やりアンコールを謳わせようとしたことは、何となく覚えているし、これを機にyoutubeで見てみたが、あの司会は酷かったと思う。中上健次は芸能は魔物だという。「魔物は何もかも変えてしまう。嘘なのか本当なのかわからなくなってしまう」と。そして都はるみは歌手として自殺したんだとも。→
2022/10/16
真琴
★★★★☆ 日本の高度経済成長期を駆け抜けた都はるみ。彼女の生き方が中上健次の視線で描かれる。昭和歌謡に慣れしたんできた身としては、懐かしく思いながら読んだ。「春美は普通の子とは違います」と母親が言う通り、青春期にその才能を発揮してきた裏に想像できないほどの葛藤や苦しみもあったと思う。「歌は魔物」「歌謡曲とは現代によみがえった語り物文芸」だと中上は言う。そして「都はるみは歌手として自殺した」とも。「普通のおばさん」に戻った彼女は今どう生きているのだろうか?あの最後の紅白のことは今でも覚えている。
2023/08/11
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