実録死体農場
実録死体農場 / 感想・レビュー
ばんだねいっぺい
恐ろしいタイトルだが、ある意味、実態に即している。これは、人の尊厳を回復するために必要な法医学の施設のことを言っている。この人は間違いを隠そうとしないし、それが新しい知恵となっているのが、素晴らしい。さらなる、科学捜査の発展が望まれる。最後の章のエピソードには、度肝を抜かれた。郵便物がとは時たま聞くが、腰が抜ける。
2022/02/27
9rikaz00
上野先生は比較的新しい死体を診る仕事だが、腐敗が進むとそこからは人類学者の仕事になってくるのだなあ。言われてみるとたしかにぼくらは死体に出会うとすぐに手厚く弔ってしまい、そのまま置いておくとどうなっていくのかというのは知らなかった。
2019/09/26
しんぷぅ
手を取ったのはたまたま見た奇抜なタイトルと暗い背表紙の為だったが、内容はいい意味で期待を裏切るものだった。法人類学者である著者の関わった事件に沿って、物言わぬ死者が語りうる様々な興味深い事柄について描かれる。時に冗談も交えるが基本的には科学者らしい率直な語り口には、同時に感情的になり過ぎすしかし確かに伝わってくる彼の優しさが感じられた。普通は内容からかけ離れたセンセーショナルな題目にあまり良い気はしないのだが、小説「死体農場」を知らない私がこの本を読む機会となった事を考えれば、それにも良い面があるようだ。
2018/02/22
nemu108
とても好みの本でした。検死学者のエッセイ集、という軽い感じの書き口で読みやすかったです。検死についての技術の進歩や、弟子が育って行く過程が見えて楽しかった。
2018/02/10
Ryokan
あとがきにもあったように私もこの『死体農場』というものを知ったのはパトリシア・コーンウェルの作品からだった。『死体は語る』の上野氏の著書もそうだったが死体からでもいろんなことが語られる、それをより詳しく聞き取ろうとするといろんな角度からの調査観察が必要であると思った。それがこういう形で実際に行われており、それが殺人やそれを断定する過程において役に立っているということはすばらしいことだと思う。ただやはり献体と言われても行われる実験を知ると人道的な面でなんとなくひっかかりがあるのは否めないかも…。
2014/10/09
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