KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

命

作家
柳美里
出版社
小学館
発売日
2000-06-01
ISBN
9784093792042
amazonで購入する

命 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

優希

とても生々しくて胸にズシンと重く響きます。生まれる命、去り行く命。命とはここまで重みを持ったものなのですね。不倫から生まれた我が子。昔から時間を共にした相手・東の癌との闘病。消えていこうとする命がある中で、自分の中で育っていく命と向き合うことはどんなに苦しいことだったかと思います。妊娠と闘病を見つめていく心の葛藤が痛みとして突き刺さりました。絶望の底から這い上がるように出産した姿が印象的です。かなり病んでいる感はありますが、それでも未婚の母となる決意をした柳さんは美しかった。

2016/08/26

モルク

赤裸々で壮絶なる私小説。家庭のある男性と交際し妊娠、産むことを決意するが彼の反応は…。そして同時に元恋人ですべてにおいて彼女を導いてくれた東氏が末期がんであることが判明する。生まれてくる命と消えつつある命、そのはざまで一人でも強く生きられるように見受けられる柳さんの彼なしでは無理という本音。闘病がキツかったであろう東氏が彼女を見つめ思いやる気持ちが滲み出る。色々問題のある家庭で育ち自由気ままに生きてきた彼女が、あとがきで「この物語を書くことで生きていく決意を固めたかった」と述べている。これが全てと感じた

2020/03/30

nonpono

連載から読んでました。知っている方は知っていたでしょうが、このシリーズを読む前は、柳美里は締切前は1人で栃木の秘湯に缶詰になっていたと思っていました。渋谷での同棲の話も読んでましたが、ああ東さんだったのかと思いました。不倫相手との新たな命の誕生と東さんの癌の発覚。ベストセラー四部作の始まりです。10代のときに自分の才能を見出してくれた人を30代で癌の闘病を支え看取るという、事実は小説より奇なりなお話です。ある芸能人のお母様を始め、癌の闘病中に読んだ方も多いと聞きます。生々しいですが、それが柳美里らしさか。

2024/10/08

クリママ

在日韓国人高校中退後、東京キッドブラザースに入団。演出家の東由多加氏と15年の不倫関係。別れ話の最中に妊娠がわかり、彼の末期癌が見つかる。たたきつけるような文章に、前半は時系列さえわからない。切迫早産で2度も入院しながら、遅くまで飲み、沖縄へ旅行に行き、お菓子ばかり食べ体重も増え続ける。彼は、認知、養育費の支払いを拒み続け、癌研での治療に飽き足らずアメリカで抗がん剤を受ける。多くの人の好意、援助があるものの、妻は登場しない。何なんだ。無事に出産、そして、命が繋がれたように彼は逝く。あまりに衝撃的で⇒

2024/10/19

James Hayashi

編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞作(作品部門)。小説でなく自身の出産と演劇の師匠とも呼べる東氏のがん闘病を同時に経験した体験を書き連ねたもの。相変わらず茨の道を歩むのが好きの様だ。恋に堕ち相手に家族があることを知る。しかしハッキリしない男にめげず自分の道を貫き出産。消えゆく命と生まれ出ずる命。自殺未遂を経験した著者が命を見つめる。印象深い写真は篠山紀信。

2019/10/15

感想・レビューをもっと見る